ワクチン3回目接種券、なぜ届かない? 大規模接種会場の「予診票」送付に遅れ 厚労省が自治体に伝えず

2022年2月12日 06時00分
 自衛隊が東京・大手町に開設した新型コロナウイルスワクチンの大規模接種会場で昨年、2回接種を受けた東京都府中市の70代の女性から「3回目の接種券が届かない」という情報が寄せられた。取材すると、接種記録の送付が滞り、接種時期の前倒しも相まって、3回目の接種券の発行遅れが、首都圏各地で起きていた。(加藤益丈)
 トラブルの要因の1つは、接種の際に必要な既往症の有無などを記した「予診票」の自治体への送付の遅れが、厚生労働省から各自治体に伝えられていなかったことだ。
 自分が住む市区町村以外で接種を受けると、予診票はいったん各都道府県の国民健康保険団体連合会(国保連)に送られる。国保連は内容を点検して接種費用を計算。通常なら接種の翌々月までに、接種を受けた人が住む自治体へ送る。予診票には接種日が記され、自治体にとっては、誰が、いつ、何回の接種を受けたかを知る手がかりになる。

◆事務処理追いつかず、自衛隊会場分を後回しに

 昨年の大手町会場では5~11月、計131万回の接種を実施。この間に都内の事業所では職域接種も本格化した。担当者は「昨年7月には見込んだ量の2倍超の月60万件以上の予診票が届き、事務処理が追いつかなくなった」と振り返る。約90人だった職員を最終的には約580人に増やしたが、件数は急増し、昨年11月は190万件になった。
 都国保連は、この状況を自衛隊に説明し、昨年7月からは、接種費用が滞ると経営への影響が大きい医療機関などの予診票の処理を優先。自衛隊会場分は昨年12月に再開し、自治体への発送は2月7日までかかった。だがこうした経緯を自治体に伝えなかった。都国保連は「自治体が3回目の接種券を作る際、予診票を使うと認識していなかった」とする。

◆国の接種記録システム使い迅速化した自治体も

 オミクロン株の感染拡大に伴う3回目接種時期の前倒しで、接種券送付が急務となった。本紙に情報を寄せた女性が住む府中市の担当者は「市内の医療機関などで昨年7月までに2回接種した市民には、1月27日から接種券を発送した。だが、同時期に大規模接種会場で受けた人は2月8日まで送付が遅れた」と話す。
 一方、自衛隊や医療機関が接種記録を入力する国の「ワクチン接種記録システム(VRS)」を活用し、3回目接種券の発送を迅速化した自治体もある。「VRSは入力ミスが多く、信用性が低い」(ある自治体担当者)とも言われるが、東京都墨田区は「VRSのデータを用いて3回目の接種券を送っている。接種日の間違いを指摘する声はあまり聞かない」とする。

◆厚労省「伝えるべきだったと言われても仕方ない」

 予診票を待っていた千葉県市川市は「接種券が来ない」と問い合わせてきた100人以上の市民についてVRSでの確認に変更した。VRS上の接種人数より予診票が少ないと気付いた川崎市は、予診票がない人にはVRSを参照して送付している。
 厚労省は、2回目の接種日の確認の際には予診票かVRSのどちらを活用しても良いことを、自治体に通知していた。だが、予診票の送付遅れを昨年秋に把握していたにもかかわらず、自治体に伝えていなかった。担当者は「丁寧な情報提供という意味で伝えるべきだったと言われても仕方ない」と話した。

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