子どもの姿や虫…幻視に困惑 認知症体験VR

2022年2月16日 07時26分

VRでその場にいない子どもや虫がはうのが見え、認知症の症状が本人の視点で疑似体験できる

 認知症は誰でもかかる可能性のある身近な病気。東京都内では2016年に41万人を超え、25年には55万人に増加すると推計される。
 「認知症の症状を疑似体験できる」という体験VR(仮想現実)を都に申し込んだ。専用のアプリを使い、スマートフォンで動画をダウンロードする。紙製ヘッドマウントディスプレー「VRscope」(凸版印刷の登録商標)にスマホをセットし、動画を再生することで手軽に体験できる。
 「掃除をしても虫が出るの」「どうしちゃったの、カーペットの模様よ」−。レビー小体型認知症の症状「幻視や錯視」に着目し、薄暗い家の中でその場にいない子どもの姿が見えたり、模様が虫のようにはったりする様子など認知症の症状を本人の目線で体験した。
 同時に物忘れや幻視、錯視などの症状を責めるのではなく、共感や相手に寄り添うことが大事と、その応対の仕方の解説も。明るい場所に移動したり、カーペットを無地にしたりするなど気持ちに応じた対応が大切という。VRを使って認知症についてまとめて学習できる仕組みだ。

紙製ヘッドマウントディスプレーを使ってVRを体験できる

 都の担当者は「使用者アンケートでは8割ほどから、役に立ったと回答があった。コロナ禍で講習会などができず、VRを使った方法が啓発活動にもつながっているのでは」と話した。
 「認知症体験VR」を開発した凸版印刷によると、金融機関や介護施設の現場などで、認知症の人への応対が課題になっているという。「症状を疑似体験することで、経験としての学習が可能」としている。
 同社ではアルツハイマー型認知症の症状の人とのやりとりを、銀行の窓口担当者の目線で体験できる「業務応対編」や、交差点の右折時や、後方確認など軽度認知障害の人の自動車の運転の特徴が表れやすい場面を本人視点で体験可能な「運転編」も作成。自治体や介護施設などでの採用を増やしていきたいとしている。 (小幡勇弘)
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 東京都では「認知症や介護のことで相談したい」と区市町村に伝えれば、担当の部署につながる。「とうきょう認知症ナビ」では都の取り組みを紹介。

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