エジプト・スエズ運河のコンテナ船座礁事故 「船尾のかじに不具合」か 運河庁長官が明らかに

2022年2月18日 20時01分

エジプト北部イスマイリア付近のグレートビター湖で、座礁事故後も係留が続いた大型船「エバーギブン」=昨年5月、蜘手美鶴撮影

 【カイロ=蜘手美鶴】エジプト北東部のスエズ運河で昨年3月に起きた大型コンテナ船の座礁事故で、スエズ運河庁のオサマ・ラビア長官が15日、本紙の取材に応じ、事故原因について言及した。当初から指摘されていた人為的ミスや悪天候に加え、船のかじにも当時何らかの不具合が生じていた可能性があることを明らかにした。
 事故は昨年3月末に発生。運河の南入り口から約30キロ地点で、パナマ船籍の「エバーギブン」(全長400メートル、幅59メートル)が護岸に突っ込み、幅約300メートルの運河をふさいで座礁した。

15日、エジプト北東部スエズ運河で、座礁事故の原因について語るラビア氏=蜘手美鶴撮影

 スエズ運河庁は事故後、船体や航行記録を調べるなどして事故原因を調査してきた。ラビア氏によると、船が運河に入る際に船長が操船を誤り、通常よりやや斜めの角度で運河に侵入。角度を戻すために船長が急激にかじを切ったことに加え、悪天候による強い海流などの影響で船尾のかじに何からの不具合が生じ、船がコントロールを失った可能性があるという。
 ラビア氏は「事故は複合的な要因で起きたが、当時かじにも問題が生じていた可能性が高い」と指摘。当時は砂嵐で視界不良だったとされるが、「悪天候は主原因ではない」と述べた。
 事故以降、スエズ運河庁は現場周辺の拡張工事に着手し、来年6月までに運河40キロ分の拡張・複線化を終える予定。運河幅は最大40メートル広がり、座礁など事故のリスクを28%軽減できるという。ラビア氏は「護岸を削って運河を広げ、カーブをなくしてより直線的にする。顧客の安全のため、2度と同じような事故は起こさない」と述べた。
 スエズ運河は世界の船舶の約15%が通過する国際海上交通の要衝。昨年の座礁事故では運河が6日間ふさがれ、400隻以上が足止めされ物流に大きな影響が出た。昨年7月に運河庁と船を所有する「正栄汽船」(愛媛県今治市)が賠償金額で合意し、運河庁が「問題解決」を宣言した。

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