呼び方変えます「敵基地攻撃能力」…首相が検討 実態変わらず論点隠しか 識者は「意味ない」

2022年2月18日 21時04分

衆院予算委で答弁のため挙手する岸田首相

 岸田文雄首相は18日の衆院予算委員会で、政府が保有を検討する敵基地攻撃能力を巡り、名称変更の可能性に言及した。憲法や国際法に反する懸念を和らげる狙いだが、政府は自衛隊が他国領域に侵入して空爆することも選択肢として防衛力強化の方針を変えていない。名称変更で論点が見えにくくなる可能性もあり、野党や有識者は「印象操作だ」と批判する。(川田篤志、大野暢子)
 衆院予算委では、自民党の岩屋毅元防衛相が「敵基地とは何を指すのか。概念が非常に曖昧。他の用語を使って議論する必要がある」と提案。首相は「一般に広く用いられている用語を現時点では使用している」とした上で「今後、名称も含めて検討していくことは考えていかないといけない」と含みを持たせた。
 首相は、極超音速や変則軌道などミサイル技術が急速に進展していることへの危機感を表明。年末に予定する国家安全保障戦略など3文書の改定に向けて「国民を守るために何が求められているのか、あらゆる選択肢を排除せず、現実的に検討する」と繰り返した。
 政府は、自衛権行使の要件を満たす敵基地攻撃ができるとする見解を示しているが、憲法に基づく専守防衛を逸脱する恐れも指摘されている。そのため、自民党は昨年の衆院選公約で「相手国領域内で弾道ミサイル等を阻止する能力」という名称を使用。公明党からも「(国際法が禁じる)先制攻撃と誤解される可能性がある。違った表現をしてもらいたい」(北側一雄副代表)という声が上がっていた。
 米国が同盟国にこれまで以上の軍事的な貢献を求める流れを受け、日本政府は米軍に委ねていた打撃力の一部を担うことも視野に、敵基地攻撃能力の保有検討を本格化させている。
 共産党の小池晃書記局長は名称変更について「正面から議論できないから名前を変えようとしている。典型的な印象操作で、姑息こそくな手段だ」と批判。元空将補で、国際地政学研究所の林吉永事務局長は「能力を持つこと自体、ある時点での攻撃を考えているのだから、名称を変えても意味がない」と話した。

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