大型フェリーの無人運航 実験成功 苫小牧港−大洗港 世界最長18時間

2022年2月19日 07時33分

無人運航で大洗港に到着した「さんふらわあ しれとこ」=大洗町で

 無人運航船の開発が、2025年の実用化を目指し本格化している。大洗港(大洗町)と苫小牧港(北海道苫小牧市、厚真町)を結ぶ航路で6〜7日に行われた大型フェリーの実証実験では、かじから手を放した状態としては世界最長となる18時間の運航に成功。船舶業界は、船員不足解消や労務負担軽減につながると熱視線を送る。(保坂千裕)
 日本財団が無人運航船の実用化を目指して二〇年に発足させた事業「MEGURI2040」の一環で、今年一〜三月までに五カ所で行われる計画の一つ。大型フェリーだけでなく、小型観光船、水陸両用船でも実証実験を進めている。

無人運航のナビシステムの画面(日本財団提供)

 今回の実験では、大型フェリー「さんふらわあ しれとこ」が苫小牧−大洗の約七百五十キロを十八時間かけて航行。漁場となる三陸沖も通過し、漁船などに出くわす場面が十数回あったものの、搭載した赤外線カメラや制御システムで航路を割り出して衝突を回避した。
 無人運航が求められる背景には、船員の高齢化やなり手不足、それに伴う人為的ミスによる事故リスクの高まりがある。海上保安庁の調査では、二〇年に発生した貨物船事故のうち、不適切な操船や見張り不十分などによるものが76%に上っている。
 七日午後四時半ごろ、さんふらわあ号の入港を見届けてから記者会見した日本財団の海野光行常務理事は「船員の負担が大きい航路で、労務負担の軽減につながる」と期待を込めた。今後の課題として、今のところは人力に頼っている着岸を完全に無人で行う技術の確立を挙げた。
 無人運航の実用化には、法整備も必要となる。現行の船舶関連の法規は、船員がかじを取ったり見張りをしたりすることが前提になっており、無人船の扱いが不明確だからだ。海野常務理事も「規制改革やルール作りを踏み込んでいかなければいけない」と指摘する。
 無人船のあいまいな位置付けは国際法でも変わらない。財団は、国内で無人運航の実証実験を重ねて実績を作り、関連する条約改正に向けた機運を醸成したい考えだ。
 財団は二五年に開催される大阪万博でのお披露目を目標とし、四〇年には内航船の半数を無人運航船とする計画。国内の経済効果は年間一兆円に達すると試算している。

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