押して、懐かし 復刻・駅スタンプラリー

2022年2月21日 07時13分

東京駅の「わたしの旅」スタンプ復刻版=スタンプの印影はいずれもJR東日本提供

 JR東日本が「懐かしの駅スタンプラリー」を行っている。1980年に国鉄が全国展開した「わたしの旅」スタンプの復刻版が登場。印影収集は日本独特の文化と言え、「押し鉄」と呼ばれる鉄道ファンを生んだ駅スタンプはその代表格だ。時代を感じさせる復刻スタンプの置かれた駅を巡った。

東京駅でスタンプを押す親子=東京都千代田区のJR東京駅丸の内南口で

◆桜木町駅(横浜市)

桜木町駅(横浜市)

 新南口近くに「鉄道創業の地」記念碑が立つ。銘板には「明治5年(1872年)、この場所にあった横浜ステイシヨンと品川ステイシヨンの間で開通」とある。碑には当時のダイヤも刻まれている。午前、午後にそれぞれ1往復、片道35分で走った。
 桜木町駅は初代横浜駅だったのだ。鉄道創業の地になったのはイギリスから購入した鉄道建設の資材を陸揚げしたのが横浜港だったから。1915年に新たに横浜駅が開業し、桜木町駅に改名された。

JR桜木町駅(横浜市)近くにある「鉄道創業の地」記念碑。後方の高架を走るのは根岸線の電車

◆馬喰(ばくろ)町駅(中央区)

馬喰(ばくろ)町駅(中央区)

 東改札口を出たところにシラカバ製のベンチがある。1972年、隣の新日本橋駅とともに国鉄で初めての単独地下駅として開業した。当時は国鉄駅の中で最低地点だった。地下5階にあたるホームの海抜はマイナス27.14メートルという。
 一方、国鉄・JRで最高地点にある駅は小海線の野辺山駅(長野県)で1345.67メートル。最低・最高が縁で88年に姉妹駅提携が結ばれた。ベンチは提携記念モニュメントなのだ。
 ところが、90年に開業した京葉線東京駅のホームはマイナス29.19メートルのため、馬喰町駅は抜かれた。「最低」は返上したが、姉妹駅は続いている。 

JR馬喰町駅東口にあるシラカバ製ベンチ。野辺山駅との姉妹駅締結を記念したもの

◆秋葉原駅(千代田区)

(上)秋葉原駅(千代田区) (下)小山駅(栃木県小山市)

 鉄道開業50周年を記念して1921年に東京駅近くにできた鉄道博物館が36年に秋葉原に移転。名称は46年に交通文化博物館、48年に交通博物館と変わった。2006年に閉館した。

◆小山駅(栃木県小山市)

 今回の復刻版では唯一の紫色の五角形。描かれているのはかんぴょうの原料のユウガオ。
<豆知識> 「鉄道創業の地」記念碑には一八七二年の運賃も載っている。片道運賃は上等席一円五十銭、中等席一円、下等席五十銭。「犬一匹に二十五銭払うべし」との記述もある。当時の一円はいまの二万〜三万円。

◆形と色分けて 駅の特色紹介

 「わたしの旅」スタンプは国鉄が駅スタンプ収集を目的に企画したキャンペーンで全国約740駅に置かれた。形と色の組み合わせで駅の特色を示す。
 駅スタンプはいつごろから始まったのか。鉄道博物館の奥原哲志(さとし)学芸員は「戦前の1930年代に北陸線や常磐線の駅に置かれたのが始まりだったようだ」と話す。「当時は不況で鉄道の利用者が増えなかった。鉄道省がその対策の一つとして打ち出したのではないか」とも推測する。
 戦後、国鉄が最初に全国展開した駅スタンプイベントは1970年の「ディスカバー ジャパン」。さらに78年の「いい日旅立ち」、80年の「わたしの旅」と続いた。
 駅スタンプ集めを楽しむ鉄道ファンは「押し鉄」と呼ばれているそうだ。奥原学芸員は「『ディスカバー』と『わたしの旅』の影響が大きかった。日本に御朱印集めといった印影収集文化があることも駅スタンプが定着した底流にありそうだ」とみている。
 文・桜井章夫/写真・坂本亜由理、桜井章夫
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