絶景の地 自由なキャンプ場を 函南に開業した渡部さん 「理想」実現へ開拓に汗

2022年2月21日 07時46分

汗を流す渡部竜矢さん=函南町平井のnegura campgroundで

 函南町にオープンしたばかりのオートキャンプ場「negura campground(ネグラキャンプグラウンド)」がアウトドア派らの注目を集めている。北に富士山、眼下に田方平野と駿河湾、遠くには南アルプスという絶景の地で、「理想のキャンプ場」を目指すのは管理人の渡部竜矢(わたなべたつや)さん(40)。抱き続けた志を実現するため、開拓や備品造りに汗を流す。(渡辺陽太郎)
 二月上旬の午後、渡部さんと町内外の男女五人が重機で土地をならし、たき火用の薪を置く棚を作っていた。海抜約三百メートルで雪も舞っていたが、渡部さんは「理想のキャンプ場にするんです。楽しいですよ」と明るい。
 北海道出身の渡部さんは大学卒業後、東京都内のIT企業に技術者として勤めていた。給料は良かったというが「オフを楽しむために働いていた」。十年前、当時組んでいたバンドで野外フェスに出演した際、キャンプを体験した。「自然の中で、本能が刺激された」。それから月二回、関東各地や富士山麓でキャンプを楽しむようになった。
 二〇一六年、函南町に中古の一戸建てを購入。新幹線で通勤し、週末はキャンプや釣り。近所には職人や芸術家も多く、好きなことに打ち込む姿に「自分は自由ではない」と感じ、理想のキャンプ場開設を決意した。
 富士山が見えることなどいくつかの条件を決め、土地を探した。移住後に知り合った人の仲介で、地元酪農家から約二・一ヘクタールの牧草地を借りられることになった。昨年六月末、十三年勤めた企業を退職。クラウドファンディング(CF)で開設資金を募るための準備をして八月中旬、百四十万円を目標にプロジェクトを公開した。
 CF開始前から会員制交流サイト(SNS)で、牧草が生い茂る土地を開墾する様子を細かに発信していた。その姿が支持され、開始から三時間で目標額を達成。五百万〜六百万円ほど集まればと思っていたが、最終的に約千百九十万円が寄せられた。
 キャンプブームの中、一部のマナー違反が問題となり、キャンプ場ではたき火台を使わない「じか火」の禁止など細かな規則が増えている。渡部さんは理解する一方で「じか火でやりたい。できるだけ自由がいい」と「理想」を語る。
 作業は進み、昨年十二月中旬、プレオープンできた。渡部さんの理想はじわじわ浸透し、既に週末を中心に予約は埋まっている。現在は三つのキャンプサイトが稼働していて、最終的に五つにする予定だ。
 開拓にはCF支援者を含む四十人ほどが協力している。同町の会社員室伏俊(すぐる)さん(36)もその一人。「開拓して成果が見えるし、お客さんから好評なのもうれしい」と笑顔だ。渡部さんは高額支援に謝意を込め「この絶景に自由に楽しめるキャンプ場ができれば、必ず成功する」と手応えをつかんでいる。
 キャンプ場の予約はネットで受け付けている。開拓の進み具合はSNSで随時発信している。

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