子どもたちの「突破力」が気候変動を防ぐ力に 「大人の常識」問い直すアクションの実例紹介

2022年3月1日 11時05分

地球温暖化の対策を子ども向けに解説した著書を手にする高橋真樹さん=東京都千代田区で

 再生可能エネルギーや省エネを取材するライターの高橋真樹さん(48)=埼玉県川越市=が、地球温暖化対策につながる小中高生の活動をまとめた本「こども気候変動アクション30」を出版した。温暖化を食い止める国際的な目標を達成するには、発電や交通の在り方などシステムの変革が必要とされるが、なぜ子どもたちの行動に目を向けたのか。著者の考えを聞いた。(福岡範行)

◆断るつもりだった教師らも…

 高橋さんから出てきた言葉は、子どもたちの「突破力」だった。教室の断熱改修に取り組んだ長野県の白馬高校の生徒たちから感じ取った力だという。
 断熱は省エネの基本。建物の断熱性能を高めると、少ない冷暖房で快適な室温を保てるようになる。電力消費を抑え、温室効果ガスの排出削減にもつながる。
 高橋さんによると、断熱改修を主導した高校生たちは「寒い教室を暖かくしたい」と、自ら資金を集め、建築の専門家らに協力を依頼。その熱心さが、生徒らを傷つけずに改修を断る方法を考えていた教師らも動かした。2020年9月、生徒50人で教室の天井や壁に断熱材を入れ、内窓を付ける工事を実現。教室の断熱は、他校にも広がった。
 「良いことだけど難しいよね、と大人は受け入れてしまう」と高橋さん。しかし、子どもたちは違った。「『やった方がいいじゃん』となる。子どもと一緒に大人も常識を問い直させられる」。口では気候変動対策が必要というが、実践できているのか、「大人が覚悟を強いられる」と語る。

◆自宅で体験、学校に提案

 本では、首都圏の子どもら約20人へのインタビューを基に実例を掲載。周囲の人や社会に働き掛ける活動も取り上げた。
 例えば、小学5年生は自宅で段ボールと腐葉土のコンポストを作り、生ごみの堆肥化でごみを減らせると実感。この経験から学校でも給食の残飯を堆肥にして中庭の野菜作りで使えないかと考え、企画書を書き、校長に相談したという。
 マイボトルを持つ、地元産の食材を買うなど、まねしやすい活動の紹介ページでも、二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスがペットボトルの利用や食材の輸送を通じて出る背景をかみ砕いて解説した。生活の中の取り組みを尊重しつつ、「社会の仕組みを変える」努力の大切さを説明する。

◆「仕組み見直す雰囲気できつつある」

 一人一人がどれほど節電しても、発電所からのCO2排出が多いままでは対策の効果は限られる。小さな積み重ねだけでは、温暖化を食い止めることはできない。高橋さんもこう強調する。「最終的には権限を持つ大人が変わらないとどうにもならない」
 目指すのは「新しい当たり前」をつくること。国内でもCO2排出ゼロを目指す動きが広がる今がチャンスだとし、「企業も自治体も、変わるきっかけを求めているところは多い。仕組みを見直そうという雰囲気はできつつある」と語った。
 高橋さんの著書は、かもがわ出版発行。四六判オールカラーで156ページ。税込み1760円。

温暖化対策の国際目標 2021年に開かれた国連の気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)で、産業革命前からの世界の平均気温上昇を1.5度に抑える努力の追求が確認された。達成には2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにする必要があるとされる。日本は2020年度の速報値ではCO2換算で11億4900万トンの排出があり、発電所などからが4割を占める。

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