<ミロ展 この作品をミロ>(1)後ろに飾られた浮世絵 《アンリク・クリストフル・リカルの肖像》

2022年2月23日 07時14分

ジョアン・ミロ ©The Museum of Modern Art,New York.Florene May Schoenborn Bequest,1996/Licensed by Art Resource,NY ©Successió Miró/ADAGP, Paris&JASPAR,Tokyo,2022 E4304

 ここからは「ミロ展−日本を夢みて」に出品されている作品の中でも特に注目するべき3点について紹介する(全3回)。解説は引き続きBunkamura ザ・ミュージアムの吉川貴子学芸員。
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 鮮やかな黄色の背景に真正面を向いた男性が堂々と描かれている。ミロが24歳のときに美術学校の友人をモデルにして制作した作品だ。フォーヴィスムを思わせるカラフルな色づかいも特徴的だが、私たちの目を引くのは男の後ろに飾られた浮世絵かもしれない。浮世絵コレクターで大の日本びいきだった友人の人となりを象徴するようにミロは浮世絵を貼り付けたのだ。作品の構図は、同じく背景に浮世絵を配したゴッホの作品《タンギー爺(じい)さん》(1887年、ロダン美術館)を想起させ、ミロは過去の画家からも貪欲に学ぼうとしていたようだ。また、印刷物を直接貼り付けるのは、当時アートシーンを席巻していたキュービスムの表現でもおなじみの手法である。浮世絵の隣には画学生である証しのパレットも配されているが、この二つのモチーフは、西洋の伝統的な油彩画と浮世絵を組み合わせて新たな絵画を創出しようとする若き画家の意気込みをも表しているかのようだ。 (次回は3月2日掲載)

◆渋谷で開催中 

 「ミロ展」は4月17日まで東京・渋谷のBunkamura ザ・ミュージアムで開催中。会期中一部日程で入場日時予約あり。詳細は展覧会公式HPへ。

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