発達障害ある人も大丈夫! 運転免許証の取得を支援 自動車学校 専用プラン導入増加

2022年2月23日 07時39分

運転席で免許証を手にする山部知歩さん=京都府久御山町で(一部画像処理)

 発達障害がある人らの運転免許取得を支援する取り組みが各地の自動車教習所で広がっている。一人一人の状態に合わせて技能や学科教習のやり方を工夫し、スケジュール管理など生活面の手助けもする。約10年前に栃木県の教習所で始まり、今では全国20校が専用の教習プログラム「つばさプラン」を導入。370人以上の免許取得につながっている。 (吉田瑠里)

◆広がる仕事の幅

 京都府久御山町の農園「しんやさい京都」に勤める山部知歩さん(36)は三年前、つばさプランを利用して免許を取った。「今朝は車で離れた畑に行き、ニンジンを収穫してきた。免許が取れ、できる仕事の幅が広がった」とほほ笑む。
 高校生の頃から免許を取りたかったが、学習障害のため口頭での説明を理解するのが難しく、教習への不安が強くて踏み出せなかった。二〇一八年に同園で働き始め、点在する畑で作業するようになったのを機に、雇用主の勧めで免許取得を決意。ネットで同プランを知り、近くの導入校、三重県伊勢市の南部自動車学校で学ぶことにした。
 一九年四月から約一カ月、合宿コースに参加。「失敗すると諦めやすかった」と話す山部さんだが、指導員からハンドルを切るタイミングなどの助言を受け、納得するまで練習した。文章だけではイメージがつかみにくい山部さんのために、指導員はノートに道路や車の絵を描いて説明してくれたという。「何度も挑戦すればできると知った」。免許とともに自信も得て、勤め先の軽トラックを運転する日々を送っている。
 同校では、通常のコースより約十一万円高いプラン料金を設定。一回五十分の教習が八回まで無料で延長でき、指導員が一対一で学科を教えたり、送迎バスの予約の代行をしたりと、きめ細かくサポートする。指導員の明比佳香さん(54)は「以前に教習を挫折した人も多い。職員皆が声を掛け、応援している気持ちを伝えている」と話す。

◆大学と連携開発

 つばさプランは、栃木県鹿沼市の鹿沼自動車教習所が一一年、発達障害が原因で途中でやめてしまう教習生もいるのではないかと考え、宇都宮大と連携して支援策の研究を始めたことから誕生した。一六年の障害者差別解消法施行を背景に、全国千二百四十六校が加盟する全日本指定自動車教習所協会連合会は一七年、「発達障害者の教習支援マニュアル」を作成。年一度は発達障害などについて学ぶ指導員向け研修会も開いている。
 同プラン利用者の支援計画は、鹿沼自動車教習所の公認心理師が作成。各導入校は受け入れ前に本人、家族と面談を行い、学校での様子や心配事などを聞く。免許取得について事前に警察に相談することも求める。教習に必要な言葉の理解、集中力なども把握し、公認心理師が利用者一人一人の苦手な部分や支援内容をまとめた指針を作り、各校へ送る。
 例えば、自閉スペクトラム症の場合は「ちょっと」などではなく「三分待ってて」といった具体的で明確な表現で伝えるよう配慮をする。注意欠陥多動性障害(ADHD)なら、停車してから説明を始めるなど集中して聞ける環境をつくるよう求める。
 同プランの運営に協力する富山大人間発達科学部の水内豊和准教授(46)は「教習所と本人の信頼関係をつくることが大事」と指摘。運転免許取得の意義を「運転できるようになるだけではない。合格し社会に認められることで、自己肯定感向上につながる」と説明する。

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