<Q&A>プーチン氏はなぜ親ロシア派地域の独立を承認したの? ウクライナ危機

2022年2月23日 18時21分
 ロシアのプーチン大統領が、ウクライナ東部のドンバス地域にあるドネツク、ルガンスク2州で親ロシア派武装勢力が実効支配する地域を「独立国家」として承認しました。国家承認にはどんな意味があり、プーチン氏はなぜこうした行動に出たのでしょうか。
Q そもそも「国家承認」とはどういう行為なのか。
 国家とは一般的に「領土」「人民」「統治権」の3つが備わっている必要があるとされています。プーチン氏は親ロシア派武装勢力が実効支配する地域がこうした要件を備えた主権国家と一方的に判断し、承認しました。
 裏を返せば、この地域はもうウクライナではない、とロシアは認定したことになります。事実上、ウクライナ領土の一部をロシアの管理下に置こうとする動きと言えます。
Q 国際的に通用するのか。
 通用しません。東部2州の地域は2014年、ロシアがウクライナ南部クリミア半島を併合した後に、親ロ派が「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」を名乗り、一方的に独立宣言した自称国家です。ロシア系住民がいるとはいえ、そもそもウクライナの領土です。ウクライナや米国、北大西洋条約機構(NATO)はウクライナ侵攻の口実をつくり出そうとしているとして強く非難し、国連のグテレス事務総長も「ロシアの決定はウクライナの領土保全と主権の侵害になり、国連憲章の原則に矛盾する」と非難しています。
Q それでもプーチン氏が独立承認という手段を選んだ理由は。
 2014年のクリミア併合と同じころに始まった東部紛争では、ウクライナ政府軍と親ロシア派武装勢力双方の交戦が激しくなり、ウクライナ、ロシア、ドイツ、フランスの4カ国は、親ロ派支配地域に高度な自治を認めた「特別な地位」を与えることを柱とする「ミンスク合意」をまとめました。

ウクライナ東部の親ロシア派地域独立承認の文書に署名するロシアのプーチン大統領(AP)

 プーチン氏はウクライナが合意を履行しなかったと批判し、同地域のロシア系住民の保護を理由に承認を正当化しました。ウクライナが履行を渋り、有名無実化していたのは事実ですが、交渉が続いていただけに、プーチン氏の行動により、合意は崩壊してしまいました。
Q 「独立国家」に派兵できる根拠は。
 プーチン氏は独立承認とともに「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」の両トップと「友好相互援助条約」も結びました。条約には両地域にロシア軍の軍事基地を設けることができる項目が含まれています。
Q ロシアはこれまでも似たような手法で、過去に主権侵害の問題を引き起こしている。日本政府の対応は。
 2008年、ロシアは、隣国ジョージアからの分離独立を宣言していたアブハジアと南オセチアの2地域を「独立国」として承認しましたが、日本政府はいずれも承認していません。今回も同様で、岸田文雄首相は23日、親ロ派支配2地域の関係者に対する資産凍結などの経済制裁を発表しました。
Q 日本が承認している国は世界でいくつあるのか。ほかに承認していない例は。
 外務省によると、承認している国は195カ国です。195というのは、国連加盟国(193カ国)から日本と北朝鮮を除き、バチカン,コソボ共和国,クック諸島及びニウエの国連未加盟4カ国を足した数です。日本政府はまた、北朝鮮、台湾、パレスチナを国家承認していません。

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