ウクライナ侵攻で弱腰見せると…日本、中国の「現状変更」に警戒感 尖閣諸島など念頭

2022年2月25日 06時00分

◆首相、ロシア制裁へ「G7と連携」

参院予算委で答弁する岸田首相

 ロシアのウクライナ侵攻を受け、日本政府はロシアへの経済制裁などを巡り、先進7カ国(G7)で足並みをそろえる構えだ。背景には、軍事侵攻への姿勢が弱腰と映れば、尖閣諸島などを舞台に「力による現状変更」をうかがう中国の行動を助長させてしまうという警戒感がある。
 「わが国は既に資産凍結や査証発給停止などの措置を取ることにしているが、事態の変化に応じてG7と連携し、さらなる措置を取るべく速やかに取り組んでいく」
 岸田文雄首相は24日の参院予算委員会で、ウクライナ情勢に関して、そう強調した。政府高官は「世界秩序の構造転換が起きてしまう重大なターニングポイント(分岐点)。首相が懸念しているのは、紛争を抱えた他の地域でも同じようなことが起きてしまうことだ」と解説する。
 尖閣周辺への領海侵入を繰り返す中国が本格的な侵攻に踏み切れば、安全保障関連法に基づく「武力攻撃事態」として個別的自衛権発動の対象になる。沖縄県・与那国島と100キロ余の距離にある台湾で軍事衝突が勃発しても「重要影響事態」と認定され、自衛隊が米軍などの後方支援に踏み切る可能性も出てくる。防衛省幹部は「中国はウクライナ情勢を観察し、どこまでの軍事力行使が国際的に許されるのかを注意深く分析しているはずだ」と語る。
 対ロ制裁によって、懸案の北方領土交渉に影響が及ぶのは避けられない。ただ、ロシアは2020年の憲法改正で領土割譲を禁じ、安倍晋三元首相が在任中にプーチン大統領と合意した共同経済活動も実現のめどが立っていない状況だ。日本と欧米の温度差が目立った14年のクリミア併合時と比べて、強い姿勢で臨みやすい環境にある。(生島章弘)

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