「是々非々」はすり寄ることか...国民民主党の予算案賛成、幹部が語った思惑 政治学者の憂い

2022年2月25日 06時00分
 世界がウクライナ危機で揺れる中、日本の国会も揺れている。国民民主党が異例の動きに出たためだ。問題の場は22日の衆院本会議。自公政権が提出した2022年度の当初予算案に賛成したのだ。同党は昨年10月の衆院選で与党の候補と対峙たいじしたのに、国の骨格を決める予算案で与党に歩み寄った。この間、わずか半年足らず。野党各党があっけにとられるのも当然だろう。国民民主党の矜持きょうじとは果たして何なのか。(木原育子、荒井六貴)

◆首相と肘タッチ、狙いは...

 「虎穴こけつらずんば虎児こじを得ず、といったところでしょうか」。発言の主は国民民主の国対委員長、古川元久衆院議員。「こちら特報部」の取材にそう語った。大きな成果を得るためには身の危険を冒すことも必要だ、という意味合いだ。

2022年度予算案が可決された衆院本会議=22日、国会で

 22日の衆院本会議後、岸田文雄首相は「丁寧に政治を進める」と述べ、国民民主の玉木雄一郎党代表と肘タッチを交わした。取材は2日後の24日。古川氏は「ギブ・アンド・テーク」を求めた。利益を与える代わりに利益を得る、ということだ。
 「与党に政策を提案していくということ。リスクを取って相手の懐に飛び込んだのだから必ず実現する。ここからが勝負だ」。思い起こすのは2009年の政権交代。旧民主党だった古川氏は「実績を出したことが政権交代につながった。国民民主も成果を取っていかないと」と意気込む。

◆「野党だから政権批判」は「永田町の常識」

 身ぶり手ぶりを交えて熱く取材に応じたのは浅野さとし衆院議員(茨城5区)。「野党だからこうあるべきって、そんなのに縛られなくていい。国民の生活のために議員をやっている」
 くしくも24日、ロシアがウクライナに軍事進攻した。ガソリン価格の高騰に懸念が強まる中、ガソリン税を一時的に軽減する「トリガー条項」の連結解除について、岸田首相が検討を明言したことを評価する。これが予算案の賛成に回るきっかけになった。「野党だから政権を批判しなければならないっていうのはどうか。永田町の常識にしばられて考えるのは変えていかないといけない」

◆支持母体の連合、前例と違う動き

 与党に歩み寄った国民民主党はどんな党か。
 きっかけは17年の衆院選だ。東京都の小池百合子知事が旗揚げした「希望の党」の立ち上げとともに、旧民主党の流れをくんだ民進党は分裂。現在の立憲民主党の結党に参加しなかった議員で結成された。
 現在所属する国会議員は23人。国政政党としては5番目の規模だ。支援労組は、電力総連や電機連合など大手企業の労組が中心。日本最大の労組団体「連合」からも絶大な下支えを受けてきた。
 その連合も前例と違う動きをみせる。夏の参院選の基本方針について当初、支持政党を明記しなかった。結局、旧民主党時代から後押しした立憲民主、国民民主両党の名前は入ったが「支持」「支援」ではなく「連携」。一方で自民党議員とのやりとりは増えているようにも取れる。日立労組出身で前出の浅野氏は「連合はいつも人物本位で支援の判断をする。連合の人も、与党と食事ぐらいする。野党だって与党とごはんを食べる時もある」と話す。
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