<Q&A>ウクライナのチェルノブイリ原発をロシアはなぜ制圧したのか?

2022年2月25日 11時57分
爆発した原子炉がシェルターで覆われたチェルノブイリ原発=AP

爆発した原子炉がシェルターで覆われたチェルノブイリ原発=AP

 ロシア軍は24日、ウクライナ北部のチェルノブイリ原子力発電所とその周辺を制圧しました。1986年に爆発事故を起こして現在は稼働していない原発をなぜ狙ったのでしょうか。
Q チェルノブイリ原発事故とは。
A 1986年4月、首都キエフから北に約100キロメートルに位置する原発の4号機で爆発事故が発生、大量の放射能物質が飛散し、被害は欧州各地に及びました。事故の国際評価尺度は2011年の福島第一原発事故と並ぶ最悪のレベル7です。
Q 今はどうなっているのか。
A 2000年12月までに全4基が稼働を完全停止し、4号機は「石棺」と呼ばれるコンクリートで覆われ、さらに鋼鉄製のシェルターで防護されていますが、今も原発の半径30キロメートルは立ち入りが制限されています。
Q ロシアが稼働停止した原発を狙うわけは。
A 発電所には、1~3号機で使われた使用済核燃料や高レベルの放射性物質が貯蔵されています。プーチン氏には、ウクライナがこれらを利用して核武装するとの疑念が強く、24日に軍事作戦実施を表明した演説でも「ウクライナは核兵器を製造しようとしている。旧ソ連時代の核技術、運搬手段も保持している」と非難していました。
Q ウクライナは実際に核兵器保有を目指しているのか。
A ウクライナが1991年の旧ソ連崩壊により独立すると、国内には旧ソ連時代の核弾頭が大量に残されました。ウクライナはその後、核兵器の撤去(ロシアへの移転)と核拡散防止条約(NPT)への加盟と引き換えに米国と英国、ロシアの3カ国がウクライナの主権を尊重し安全を保障する「ブダペスト覚書」を結んでいます。
 ウクライナが公式に核保有を表明したことはなく、英BBCによると、国際原子力機関(IAEA)は、ウクライナには原子力を兵器に転用する兆候はないと指摘しています。
 ただ、ウクライナにとっては、核兵器を断念したのに「ブダペスト覚書」がほごにされ、北大西洋条約機構(NATO)の加盟も認められない現状に不満があるのは事実です。

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