VRやARで変わる購買体験 デパート、モデルハウス… 眼鏡の「バーチャル試着」も<まちビズ最前線>

2022年2月27日 08時00分
 コロナ禍で人と人が対面しない「非接触」の需要が高まる中、スマートフォン越しに見るバーチャル(仮想)の世界で誰かと一緒に買い物したり、不動産物件を内覧するといった新サービスが広がっている。VR(仮想現実)やAR(拡張現実)などのデジタル技術だ。私たちの購買体験は今後、どう変わり得るのか。(大島宏一郎)

化粧品売り場を再現したVR(仮想現実)のイメージ=三越伊勢丹ホールディングス提供

 「伊勢丹新宿店を回遊するようでうれしい」「地方在住の両親と一緒に買い物できた」。スマホ専用アプリで売り場を「疑似」体験した人の声だ。
 三越伊勢丹ホールディングスは昨年3月から、同店の売り場をコンピューターグラフィックス(CG)で再現した仮想空間を提供している。利用者はVR化した売り場で、自身のキャラクターを操作し店内を歩き回る。食品や洋服など気になる商品をタッチすると、通販サイトの購入画面につながる仕組み。他の人と文字チャット機能で会話することもできる。
 「思い出に残るような体験価値を提供する」。VR事業を担当する仲田朝彦さん(37)は語る。最近では、コロナ禍で実店舗に行きにくいと言う高齢者から「妻と店でデートするのが日課だった。バーチャルの使い方を教えて」との問い合わせを受けた。同社は今後、高齢者らへのサポート体制充実を検討する。

◆現地まで行く必要がないメリット

戸建て物件のモデルハウスを再現したVR。スウェーデンハウスのサイトで閲覧できる

VRで再現したモデルハウス=スウェーデンハウス提供

 住宅メーカーのスウェーデンハウス(世田谷区)も昨年4月、全国に67カ所ある一戸建て住宅のモデルハウスをVR映像で「内覧」できるサービスを始めた。営業推進部の大川保彦さん(49)は、実際に現地まで行く必要がないという利点を挙げながら「20~30代の夫婦を中心に利用が伸びた」と語る。

◆「対面接客を避けたい人から好評」

画面上でおすすめのフレームを試せるタブレット端末=東京都渋谷区のJINS渋谷店で

顔の形を測定し、おすすめの眼鏡フレームを提案してくれるタブレット端末=東京都渋谷区のJINS渋谷店で

 ARの活用も進む。眼鏡チェーンのJINS(ジンズ)は、実際に眼鏡をかけなくても専用機器の画面で試着姿を映し出すサービスを昨年9月から全店舗で提供。眼鏡をかけたまま別の眼鏡に変える「バーチャル試着」などができる。「対面接客を避けたい人から好評」(広報)という。
 ◇
 市場調査会社の富士キメラ総研によると、VRやARを使ったサービスなどの市場規模は拡大。2019年は180億円だったが、20年は210億円に増える見込みという。

VR(仮想現実)とAR(拡張現実)パソコンで描かれた画像(CG)を使ったデジタル技術。VRは、上下左右360度の全方向をCGで立体的に作った仮想空間を再現、その中に自分が飛び込んだかのような疑似体験を電子機器で可能にした技術。一方、ARは、自分のいる現実世界にCGを電子機器で映し出す技術。VRと違い現実世界が基点になっている。

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