重い障害のある人の「居場所」に、通所施設が西東京にオープン 難病の息子を持つ本間さん「誰も孤立させない」

2022年2月26日 17時00分
 重い知的障害と体の不自由さがある未就学児や大人を対象にした通所施設「うさぎのみみ」が今月、東京都西東京市にオープンした。自身も重度障害のある息子を育て、介助する同市の本間りえさん(59)が、クラウドファンディングなどで資金を集め、開設にこぎ着けた。自力で動くことが難しい人は、室内での活動が多くなりがちだ。本間さんは「誰も孤立させない」との思いを胸に、障害のある人や保護者が、地域の人と触れ合う拠点を目指している。(奥野斐)

「誰も孤立させない」という事業所開設への思いを語る本間りえさん=東京都西東京市で

 「みんなの居場所と出番を」。西武池袋線の保谷駅から徒歩5分のビルにある「うさぎのみみ」。入り口にはこんな言葉を掲げた。
 「障害がある人は、何か頼まれる機会が少ない。住み慣れた地域で、社会の一員として求められる居場所と出番が必要」と思ったからだ。
 施設では利用時間中にスタッフと近くの店に行き、家族に頼まれた買い物を済ませる活動などを予定。子どものために、音楽を取り入れた療育プログラムや読み聞かせも計画している。
 開設の背景には、本間さんが長男光太郎さん(32)と歩んできた人生がある。光太郎さんが4歳の時、大好きだった幼稚園バスに「乗りたくない」と言い出した。ある時は「靴がない」と言いながら、園の上履きのまま帰ってきた。
 病院を回ったが原因は分からず、「気にしすぎ」「育て方が間違っているのでは」と言われたことも。1年半ほどたった小学校入学直後、中枢神経や副腎に異常を起こす難病「副腎白質ジストロフィー(ALD)」と診断された。
 光太郎さんは病気が進行し、体を自由に動かせない。本間さんは投薬やたんの吸引で目が離せなくなった。

自力で動くのが難しいため、視線入力装置を使って絵を描く光太郎さん(本間さん提供)

 光太郎さんは特別支援学校を卒業後、病院に通ったり、週に何度か通所施設に行ったりする生活だった。本間さんは「もっと地域の人と、日常的に触れ合える居場所があれば」と感じてきた。
 本間さんは、20年ほど前に患者と家族の会を設立。一昨年には一般社団法人「うさぎのみみ」を発足させ、自らの手で居場所づくりへ動きだした。重度障害のある子の親たちにも背中を押されたという。
 「差別や偏見も感じたけど、この子がいたから多くの人に出会えた」と本間さん。「いろんな人がふらっと来て、相談したり助け合ったり、ほっとできる場をつくりたい」と語る。
 「うさぎのみみ」は就学前の6歳以下の子と、18歳以上の大人が対象。定員は5人。保育士や看護師ら専門スタッフが常駐し、医療的ケアの必要な人も受け入れる。活動を支える「サポーターズ」も募集中。利用相談や問い合わせはうさぎのみみ=電042(439)9568=へ。

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