国会は「ジェンダー平等」再認識を イギリスにならい世界基準の自主点検を求める声

2022年2月28日 06時00分
 国会の女性参画が停滞している。昨秋の衆院選(定数465)の当選者に占める女性比率は9.7%の45人で、2017年の前回を下回り、1割を割り込んだ。国会や地方議会で女性議員の増加を目指す「政治分野の男女共同参画推進法」の制定を主導した超党派の議員連盟には危機感が拡大。打開策として、国会がジェンダー平等の視点から課題を再認識するため、諸外国が取り入れている世界基準の自主点検(内部監査)を実施するよう声を上げている。(柚木まり)

◆仕事と家庭の両立できる対策を

 議連会長の中川正春衆院議員(立憲民主)は25日、細田博之衆院議長と面会し、自主点検の実施を要請。細田氏は「進めていくべきだと思う」と前向きな姿勢を示したという。中川氏は「ジェンダーの視点で国会を点検し、問題点を共有することが必要。国会には一般社会と同じ問題が凝縮されている」と訴える。
 点検は日本も加盟する国際組織「列国議会同盟」の「ジェンダーに配慮した議会のための行動計画」に基づく。議会組織の構成員を男女同数とすることや、仕事と家庭の両立が図れるよう男女の議員の要望に対応することを目指す内容だ。
 点検項目には、議員に家族と過ごす十分な時間が確保されているか、産休や育休中の議員が投票できる仕組みがあるかなどが並び、議会運営のあり方を確認する。国会職員、議員秘書らの男女比も調べる。

◆イギリスでは点検契機に制度改革 産休議員に代理投票

 英国議会は18年、女性参政権100周年に際し、国会議員による点検を実施。報告書で「国会の仕事と家庭生活との両立が根本的な課題」と指摘し、子育て中の議員が出席困難な早朝に委員会を開かないことや、国会日程を1年先まで示すことなど52項目の提言を行った。議会でのいじめやセクハラが深刻化しているとして、委員会設置などによる調査を求め、産休後に復帰する女性への支援の必要性も提起した。
 英国議会の点検を調査した上智大の三浦まり教授(政治学)によると、提言後に産休などで出席できない議員の代理投票が認められるようになったという。他国でも、セルビアは議席の一定数を女性に割り当てる「クオータ制」の割合を引き上げ、ジョージアでは国会内にジェンダー平等委員会を設置するなど、点検が制度改革の契機となった。
 三浦氏は「女性の政治参画が進まないのは、議会や政治がジェンダーに配慮していない仕組みだからだ。国会のジェンダーギャップを可視化し、前例踏襲を良しとせず、時代に合った制度に改めることが必要。国会の慣習を見直すことに意義がある」と話した。
 ジェンダー(gender) 身体の特徴など生物学的な性差(sex)ではなく、社会的・文化的につくられた性差のこと。「男は仕事、女は家事育児」といった性別による役割分担もその一つ。世界的に「ジェンダー平等」が重要な政策課題とされ、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」にも盛り込まれている。
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 3月8日は、国連が定めた「国際女性デー」です。女性たちを力づけ、ジェンダー平等を考える記事を随時掲載します。

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