東日本大震災、被災者とボランティアの葛藤描いたドキュメンタリー 4日からオンライン配信

2022年2月28日 17時02分
 東日本大震災の発生から11年に合わせ、被災者とボランティアの関係性を扱ったドキュメンタリー映画が、4~13日にオンライン配信される。支援する側、支援される側という双方の立場からの葛藤を描いており、監督の我妻あがつま和樹さん(36)=宮城県白石市出身=は「被災地に思いを寄せた人、足を運んだ人など、震災によって生まれた人の出会いが復興の力になったということを、この映画を通して伝えたい」と呼びかけている。
 タイトルは「千古里ちこりの空とマドレーヌ」。津波で甚大な被害を受けた宮城県南三陸町の集落「波伝谷はでんや」で、2011年12月から2012年4月に撮影された。津波から1軒だけ残ったペンションを舞台に、被災したパティシエの男性と関西などから支援に駆けつけたボランティアに密着。善意に感謝しながらも、支援を受けるという立場に戸惑うこともある被災者、相手が望まない支援をしているのではと悩むボランティアの姿に焦点を当て、それでも新たに生まれた人のつながりが町の復興を支える力となったということを、113分の上映時間で描いている。
 我妻さんは東北学院大在学中に民俗調査で波伝谷に入り、卒業と同時に2008年3月から波伝谷でドキュメンタリー映画の撮影を始めた。これまでに震災前の集落の日常をとらえた「波伝谷に生きる人びと」、震災直後に撮影された続編の「願いと揺らぎ」を発表しており、今作が波伝谷を舞台とした3作目。狭い地域の中で生きる人たちを描いた前2作とは違い、今作では外から来たボランティアを題材にした。「僕の場合、震災前から波伝谷の方々と関わってきたが、震災には大きな影響を与られた。震災がなければ1作目で終わっていたと思う」と話し、この作品を「相手のことを理解、尊重して前に進む関係性をどうやって築くかを描いた。学校教育やボランティア研修でも活用されてほしい」と力を込める。
 昨年3月11日に東京で公開し、その後は関西などで上映会を開いてきた。「コロナだけでなく、病気や身体的事情で外出が難しい人にも見てほしい」との思いから、オンラインで配信することにした。10日間限定の有料配信、詳細は作品のウェブサイトで。

「千古里の空とマドレーヌ」の一場面(我妻さん提供)


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