ロシア、ウクライナ侵攻の実態伝えたメディアを遮断、ネットも制限…子どもの質問には「回答マニュアル」

2022年3月3日 06時00分
 【モスクワ=小柳悠志】ロシア軍によるウクライナ侵攻から2日で1週間。ロシア当局は地元メディアや教育、経済面などの統制強化を急ぐ。戦闘の実態を伝えてきた独立系メディアの規制、学校教育への介入、食料品の価格操作…。戦時統制で国民への締め付けを強めている。

2日、キエフで、地下鉄に避難している人々。ウクライナ市民の被害情報は、ロシアでは伝えられない可能性がある=AP

◆当局が情報をブロック

 ロシア情報当局は1日、独立系テレビ局「ドーシチ」と同ラジオ局「モスクワのこだま」の放送とサイトを遮断。ウクライナでの軍事作戦を「侵攻」「戦争」と表現し、公式発表以外の情報も伝えたためだ。
 ふつうは自由に利用できるインターネットも規制され、ツイッターなど一部の会員制交流サイト(SNS)は接続できなくなった。戦況の詳細を伝えるウクライナ側の情報を当局がブロックしているようだ。
 欧米メディアがウクライナ主要都市からロシア軍侵攻による被害実態を伝える中、ロシアの国営放送は「軍は軍事施設だけを攻撃し民間人に犠牲者はいない」と主張。金融アナリストのユリアさん(29)は「ロシアでは国営テレビの映像や軍発表を信じる市民が多い。独立系メディアが封じられた先に待つのは『言論の自由』の死だ」と言い切る。

1日、ロシア・サンクトペテルブルクで、ウクライナ侵攻への反対運動の参加者を拘束する警察官=AP


 昨年のノーベル平和賞受賞者で、ジャーナリストのドミトリー・ムラトフ氏は「ロシア政府は、プロパガンダ(政治宣伝)を自国にとどまらず、世界中にまき散らしている」と非難。ウクライナとの連帯を示すため、ロシア語とウクライナ語を併記した特別新聞を侵攻開始後に発行した。

◆食料品の価格も操作

 独立系新聞ノーバヤ・ガゼータによると、教育当局は教職員に対し、生徒から今回の侵攻について質問された場合の回答マニュアルを作成。「ウクライナは米欧に操られており、ロシア軍が平和維持活動をしなければならなくなった」と、プーチン大統領が軍事侵攻した理由の説明通りに答えるよう通達した。
 独占禁止局は1日、大手スーパーと協議し、砂糖やパン、野菜を販売する際の利益率を5%以内に抑えることで合意したと発表。米欧の対ロ制裁を受けて通貨ルーブルは暴落、金融機関では取り付け騒ぎも起きており、価格統制で国民の不満を抑え込もうと躍起だ。
 IT技術者のニコライさんは「大勢の市民がルーブルの価値急落を見越し、家電などを早めに買おうとしている」と明かした。
 一方、国内各地で「反戦」を掲げる抗議活動が頻発し、拘束者は累計約6500人と増え続けている。

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