親子2組、ゆかりの役共演 国立劇場三月歌舞伎「盛綱陣屋」 菊之助&丑之助 梅枝&小川大晴

2022年3月4日 07時26分

取材会に出席した(右から)菊之助、丑之助、小川大晴、梅枝=東京都内で

 東京・国立劇場の三月歌舞伎公演は、敵味方に分かれて争う佐々木盛綱、高綱兄弟の悲劇を描いた「近江源氏先陣館(おうみげんじせんじんやかた) 盛綱陣屋(もりつなじんや)」を上演している。尾上菊之助(44)と中村梅枝(34)が、それぞれ初役でゆかりの役をつとめる。盛綱を演じる菊之助は「人と人とのつながりが強く描かれた作品。コロナ禍にあって、それを深く考えるきっかけになるのでは」と来場を呼び掛ける。 (谷岡聖史)
 源頼朝の嫡男頼家と、幕府執権の北条時政が権力を争っている。時政側の兄盛綱の陣屋に、頼家についた弟高綱の子、小四郎が捕らえられている。わが子かわいさに弟が武士の道を外れないかと案じる盛綱。そこに、高綱が討ち死にした、と首おけが運ばれてくる…。徳川家と豊臣家が争った大坂の陣を鎌倉時代に置き換えた時代物で、盛綱、高綱はそれぞれ真田信之、信繁(幸村)を暗示しているとされる。
 武士としての生き方と、家族への思いで葛藤する盛綱。菊之助にとっては義父の故中村吉右衛門が高評を得た繊細な役で、「ここはこうする、と岳父が事細かに書き残してくれた台本や書物をひもときながら役をつくっていきたい」と気を引き締める。「子どもを犠牲にしてまで忠義を立てるのは現代ではナンセンスに見えるが、この時代物にはハイセンスが隠れている。人を深く思いやる心『恕(じょ)』が読みとれる」と話す。
 梅枝は中村時蔵家ゆかりの高綱の妻篝火(かがりび)を演じる。「きずなを強く感じる作品。人命より優先順位が上のものがあった時代、大きな渦に巻き込まれた一つの家族にスポットを当てたい」と言う。
 作品では盛綱の葛藤とともに、兄弟の駆け引きと情愛、高綱親子の計略が推理劇のように展開する。梅枝は、父時蔵から「(登場しない)高綱の存在を弟として、夫として感じてもらうこと」を助言されたといい、「そうすることで家族のドラマとしても推理劇としても深みを増す」と語る。
 二組の親子共演にも注目だ。菊之助の長男尾上丑之助(8つ)は、小四郎役に「大変だけど立派なお役なのでうれしい」。盛綱の子、小三郎を演じる梅枝の長男小川大晴(ひろはる)(6つ)は「かっこよくなれることが楽しみ」と屈託なく語った。
 二十七日まで(十、二十二日は休演)。国立劇場チケットセンター=(電)0570・079900=へ。

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