東電「賠償払いすぎ」主張退け、判決確定 弁護士「国の指針見直しを」 福島第一原発事故、避難者集団訴訟

2022年3月5日 06時00分
 福島第一原発事故の被災者への賠償で、国が示した基準「中間指針」を超える額の支払いを東京電力に命じた3つの高裁判決が確定した。「東電は指針が最高基準と主張し続けたが、それでは少ないことがはっきりした」。福島原発避難者訴訟弁護団の馬奈木まなぎ厳太郎いずたろう弁護士は4日、東京都内で会見を開き、救済への消極的姿勢の象徴となった「指針」の見直しを訴えた。
 東電による賠償は、国の原子力損害賠償紛争審査会が定めた中間指針が基準だ。被災者への支払いを迅速にするため、指針の対象外の損害は「個別具体的な事情に応じ損害と認められうる」とされている。
 3訴訟はいずれも指針を超える賠償を、原告のそれぞれの事情を踏まえて認定。さらに福島訴訟では、確定した仙台高裁判決が旧居住制限区域の住民に300万円、帰還困難区域に150万円などと、区域ごとに一律で賠償の上乗せをした。
 馬奈木弁護士は「原告になっていない人も本当は指針の賠償額以上の損害を被っている。最低でも福島の避難者訴訟で認められた額は上乗せされるよう、指針を見直さなくてはいけない」と主張した。国の審査会は1月末の会合で「ただちに見直しの必要はない」と消極的だったが、今後流れが変わる可能性がある。
 東電は2014年、「最後の1人まで賠償貫徹」など被災者への賠償姿勢として「3つの誓い」を示した。ところが、尊重するとした裁判外紛争解決手続き(ADR)で示された和解案も中間指針を超えれば応じないケースが多い。昨年末時点で東電と被災者が争った訴訟は、調停なども含めて630件に上る。
 東電は今回の訴訟で「中間指針が損害よりも高い水準で、賠償を払いすぎている」と主張した。馬奈木弁護士は「とんでもない理屈は明確に排斥された。東電は別の訴訟でもこうした主張をすべきでない」と声を強めた。(小沢慧一、小野沢健太)

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