ウクライナ侵攻「プーチン氏の筋書きとは違う展開に」英名門シンクタンク・秋元千明氏が分析

2022年3月7日 12時00分

ウクライナの首都キエフ近郊で5日、兵士の支援を受けながら避難する家族=AP

 ウクライナに侵攻したロシア軍が想定以上の激しい抵抗にあっている。ウクライナ軍の訓練や準備に加え、米英の情報機関が侵攻の兆候をいち早くつかみ、周到に備えてきたことが背景にある。ロシアのプーチン大統領は短期決戦で勝利を収める考えだったとみられるが、英国王立防衛安全保障研究所(RUSI)の秋元千明・日本特別代表は「プーチン氏が描いた筋書きとは違う展開になっている」と語る。(藤川大樹)
 RUSIは安全保障分野における世界最古のシンクタンク。侵攻直前にロシアの計画を分析する特別報告書「ウクライナ破壊の陰謀」を公表し注目を集めた。
 報告書によると、ロシアではプーチン氏側近のコザク大統領府副長官が中心となり、1年以上前から侵攻計画を練ってきた。

英王立防衛安全保障研究所(RUSI)の秋元千明・日本特別代表

 ロシア軍は昨年春からウクライナ国境での部隊増強を開始。9月中旬にベラルーシと実施した軍事演習「ザーパド」以降、その規模を急速に拡大させた。秋元氏は「米英はこの時期から、軍事侵攻の恐れがあるとにらんでいた」と明かす。
 同時に連邦保安局(FSB)の工作員らがウクライナ国内をかく乱する作戦を繰り広げていたとされる。

◆米英、周到にウクライナ軍強化

 これに対し、米英は機密情報の積極開示や大規模な制裁準備でロシアをけん制。情報機関と特殊部隊で編成された複数のチームを秘密裏に現地に派遣し、ウクライナ軍の作戦指導や米欧の兵器の提供、ウクライナ指導部の亡命準備などに従事してきたという。
 米英を中心に北大西洋条約機構(NATO)は2014年のクリミア併合以降、ウクライナ軍の訓練や武器供与を続けてきた。秋元氏は「ウクライナ軍の練度は8年前より高い。今、頑強に抵抗できているのはそのおかげだ」と評価する。
 一方、ロシア軍とウクライナ軍の戦力差は大きく、「ロシアの進軍は想定より遅れているが、戦術的にはウクライナ軍の勝ち目は薄い」と指摘。ウクライナのゼレンスキー大統領は降伏や亡命などの選択肢を迫られる可能性がある。ただ、仮にロシアがウクライナを占領しても「欧米から厳しい制裁を受け、ウクライナ国民は抵抗を続ける。ロシアがウクライナ全土を統治するのは難しい」との見通しを示す。

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