更年期 フェムゾーンの悩み 不快な症状我慢せず、積極的ケアを

2022年3月8日 14時48分
 女性が閉経を迎える50歳前後の約10年間にあたる更年期。女性ホルモンの減少による外陰部や膣(ちつ)の萎縮、筋肉の衰えが、尿漏れや性交痛などを招くことがある。下半身の悩みは口に出しにくいが、最近は英語で女性を意味する「female(フィーメイル)」から「フェム(fem)ゾーン」と呼び、専門家らが積極的な対策を呼び掛けている。 (細川暁子)
 四十五〜五十五歳の閉経前後を意味する更年期は、女性ホルモン「エストロゲン」の分泌量が減少。肌の潤いが低下したり筋肉や皮下組織が衰えたりする。咲江レディスクリニック(名古屋市)の産婦人科医、丹羽咲江さん(55)によると、乾燥して皮膚にしわやたるみが生じるように、膣や粘膜組織も潤いが失われて萎縮。筋肉も弱っていき「フェムゾーンにさまざまな問題が起きる」と話す。
 外陰部の乾燥や尿失禁、膣から膀胱(ぼうこう)や子宮などが出る骨盤臓器脱、性交痛…。更年期に経験する女性器のこうした症状を、「GSM(閉経関連尿路生殖器症候群)」と国際学会が命名したのは二〇一四年だ。以降、病気として捉え、適切な対策をする重要性が叫ばれている。

◆尿漏れ改善に 骨盤底筋鍛え

 尿漏れや骨盤臓器脱は、骨盤内の臓器を下から支える骨盤底筋が、出産や加齢などでダメージを受けて衰えることで起きる。予防や改善には、椅子に座っている時や電車で立っている時などに、膣や肛門をギュッと締めるイメージで引き上げるといい。気が付いたときに繰り返すだけでも骨盤底筋を鍛えられる。
 フェムゾーンの臭いやかゆみが気になる人も多いだろう。膣内の自浄作用が低下し、雑菌やカビが繁殖しやすくなるのが原因だ。ただ、温水洗浄便座で洗いすぎると乾燥して逆効果。フェムゾーン専用のせっけんで清潔に保つ、また抗菌薬(抗生物質)、カビに効く膣座薬などで治療できる。下着が擦れたり、ジーンズの縫い目が不快だったりといった乾燥による痛みは、女性ホルモンの内服や膣座薬、炎症を抑えるステロイド薬を使えば改善する。

◆性交時の痛み 潤滑剤で緩和

 意外と悩みが深いのが性交痛だ。日本家族計画協会は二〇年、二十〜六十九歳の男女約五千人に、インターネットでセックスについての意識調査を実施した。それによると四十〜五十代の女性は約六割が「痛い」と回答。男女間で大きく差が開いたのは「セックスしたいと思うか」という問いへの答えだ。「思う」と答えた男性は四十代で85・9%だったが女性は48・3%、五十代は男性が81・2%に対し、女性は30・8%にとどまった。丹羽さんによると、痛みの原因はエストロゲンが減ることによる膣粘膜の萎縮だ。クリニックでは「性交痛外来」を設けており、夫に分かってもらえないと悩む女性は多い。
 まずは膣の外や中に、ドラッグストアなどで手に入る潤滑剤を性交時に塗るのが有効だ。それでも痛い場合は、女性ホルモンの内服や膣座薬、炭酸ガスレーザーを膣壁や外陰部に照射する方法も。レーザーを当てると膣粘膜の細胞が活性化して、粘膜に厚みと潤いが戻る。尿道の引き締め効果もあり、尿漏れの改善にもなるという。
 クリニックでは、月八十人ほどが炭酸ガスレーザーの施術を受ける。公的医療保険の適用ではないため一回三万三千円で、必要に応じて繰り返す。運動した際の尿漏れに悩んでいたという同市内の女性(57)は「今はなくなった」と笑顔だ。丹羽さんは「フェムゾーンの悩みは心の健康に影響する。人生百年時代の後半をネガティブに過ごすことがないように」と訴える。

関連キーワード


おすすめ情報

健康の新着

記事一覧