<東海第二原発 再考再稼働>(37)20世紀最大の負の遺産 ビデオジャーナリスト・遠藤大輔さん(56)

2022年3月9日 07時49分
 二〇一八年、日本原子力発電東海第二原発(東海村)の再稼働への反対運動を中心に取り上げたドキュメンタリー「恐怖のカウントダウン−東海第二原発を止めたい」を発表した。住宅地のすぐ近くにある東海第二の危険性や、本音では反対だけどなかなか声を上げづらいという村民の気持ち、原発反対派の署名受け取りを拒否する原電の不誠実な姿勢などを描いた。
 その後も差し止め訴訟の傍聴など、東海第二への関心は継続的に持ち続けている。
 原発問題に関心を持ったのは、別の映像作品の上映会でたまたま南相馬市からの避難者と話をしたことがきっかけ。直観的に「これは次にやらないといけない仕事だな」と思った。
 原発で働いていた人の証言やさまざまな研究によるデータに触れる中で、私が至った結論は、インフラを担う発電プラントとして原発は欠陥品だということだ。持続可能性がなく、SDGs(国連が掲げる「持続可能な開発目標」)に反するものだとはっきり意識するようになった。
 原子炉は、運転した瞬間から壊れ始める。内部で中性子線が飛び回り、原子炉をどんどん傷つけていく。交換したり修理したりする技術はなく、原子炉そのものを取り換えることはできない。災害やテロなど外部からだけでなく、原発は自分の力で壊れていくものなんだということをもう少し考えてほしい。東海第二のように老朽化した原発の再稼働は、特に危険だ。
 再稼働すべきでない理由は、説明してもきりがないくらい、他にもいろいろある。例えば福島第一原発事故は、原発は人類がまだコントロールできるようなものじゃないと感じさせる事例だった。作業員が飛び込んでいって対応したことが美談のように語られるが、こんなのは人間魚雷のようなもので、労働問題としても大きな問題だ。
 原子力の技術はまだ研究室のレベルで抑えておくべきもので、電力を賄うために危険性に目をつむって動かし続けていることは、世界にとって二十世紀最大の負の遺産になると思う。最近ではロシアがウクライナの原発を攻撃したというニュースがあるが、非常に恐ろしいことだ。原理自体は単純だが、コントロールが非常に難しいという意味で、発電プラントとして原発はふさわしくない。
 避難計画だってつくれるわけがない。事故が起きたら、例えば車が一台エンストしただけで道路は動かなくなる。そんなのは全て想定しきれない。絶対に病院を離れて避難できないような災害弱者もいる。机上の空論で計画をつくるのは無責任だ。各自治体は「つくれません」と国に言うべきだ。
 理想を言えば全ての原発を止めたいが、そこまでの活動はできない。東京の人間としては、とりあえず首都圏に一番近い東海第二を止めることが社会的役割だと思っている。引き続き全力で対峙(たいじ)していく。(聞き手・長崎高大)
<えんどう・だいすけ> 1966年、東京都生まれ。早稲田大政治経済学部卒。ドキュメンタリーの自主制作活動の後、テレビの報道番組を多数手掛けた。2018年、東海第二原発を巡る問題を追った「恐怖のカウントダウン−東海第二原発を止めたい」を発表した。メディア活動支援機構プロデューサー。

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