<東海第二原発 再考再稼働>(38)避難「自分事」に考えて 「原子力防災を考える会@茨城」美沢道子さん(51)

2022年3月10日 07時58分
 日本原子力発電は二〇一七年、東海第二原発(東海村)の運転期限延長を原子力規制委員会に申請した。これが原発問題に関心を持つきっかけになった。申請は翌一八年に認可。知り合いの保守系市議にも「東海第二は廃炉になる」と聞かされていたので、寝耳に水だった。
 運転四十年超の老朽原発が事故を起こさないのか心配になり、水戸市民などでつくる「原子力防災を考える会@茨城」のメンバーに。原発事故時の避難を考えるセミナーの開催や、定期的な行政との対話を通じて、市民目線で原発と向き合っている。
 調べているうちに、県、特に東海村は原子力関連産業に依存していることを知った。なりわいにしている人がいる以上、簡単に賛否を分けられない。単純に原発反対を主張するのではなく、周囲の人に原発を自分事として考えてもらうようにしている。
 例えば、私は保護猫を七匹飼っているが、災害時に避難所に連れていくのは難しい。ペットがいる友人に、原発事故が起きたら避難はどうするのかと投げ掛けると、関心を寄せてくれることがある。これが私に合ったやり方だ。
 「考える会」は年に一回、(再稼働の際に事前同意を求められる)県や水戸市の原子力防災担当者と面会して、広域避難計画の策定状況を聞いたり、こちらの質問に回答してもらったりしている。高橋靖市長にも何回か直接会った。市長は、実効性ある避難計画を策定できない限り再稼働の是非を判断できないという立場を明確にしており、私たちの頼みの綱だ。
 政治の意思決定は、一部の人の利益だけが反映され、予定調和で行われていると感じる。水戸市議会で一八年に再稼働反対の意見書が可決された時、それまで「再稼働はできない」と言っていた議員が棄権したのを見て、当てにならないと思った。自分たちで行動を起こすしかない。
 広域避難計画は、どんなに頑張ってつくっても机上の空論の域を出ないだろう。ただ、私たち市民がその実効性を問い続けることは再稼働させない抑止力になる。もっとも、仮に再稼働しなくても、東海第二には使用済み核燃料もあるため、計画自体は作らなければいけない。
 二〇年には、東海第二の再稼働の賛否を問う県民投票条例案が県議会で否決。だが、条例制定を求めて署名した八万七千人の声を無視するべきではない。事故対策工事の工期が二四年九月まで延長され、時間ができた。県や水戸市には引き続き市民目線の意見を伝えていきたい。
 ウクライナの原発がロシア軍に制圧され、原発は武力攻撃の対象になるのだと改めて思った。戦争はいつ起きてもおかしくないし、対岸の火事ではない。原発は存在自体がリスク。電力の安定供給という利益とてんびんにかけても、負の方が大きいのではないか。(聞き手・保坂千裕)
<みさわ・みちこ> 1971年、水戸市生まれ。2018年に「考える会」に入り、20年から代表。夫が経営する会社を手伝いながら、アクセサリーのデザインや製作にも取り組む。2児の母。水戸市在住。

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