「子どもを福島に戻す選択肢はなかった」 原発事故自主避難の11世帯が福島県を提訴

2022年3月11日 21時27分
 東京電力福島第一原発事故で、福島県の避難指示区域外から東京と埼玉に自主避難している住民らが、住宅からの退去と損害金を県から請求され精神的な苦痛を受けたなどとして、計1100万円の損害賠償を県に求めて11日、東京地裁に提訴した。
 原告は、応急仮設住宅として提供された東京都江東区、さいたま市浦和区の国家公務員住宅などで避難生活を送る11世帯。
 訴状によると、住民らは2017年3月末で応急仮設住宅の提供を打ち切られ、その後は2年間の緩和措置で家賃を支払って生活してきた。だが、措置が期限を迎えた19年4月以降、福島県は住民に対し、退去と家賃の約2倍の損害金の支払いを毎月催促。住民側は、住宅打ち切りは「国際人権法が国内避難民に人権として保障している居住権の侵害だ」と主張している。
 住民を支援する「原発事故避難者住まいの権利裁判を支援する会」(東京)は提訴後、東京・永田町で集会を開催。録音による原告らの声が紹介された。
 原告の1人で、妻と子ども4人が浦和区の住宅で避難生活を送る40代男性は「危険な原発がまたトラブルを起こすのではないかと思い、福島に子どもを戻す選択肢はなかった。経済的に追い詰められ、転居は難しい。そんな中、福島に戻らないのはわがままなのでしょうか」と訴えた。
 弁護団長の井戸謙一弁護士は「避難者は大きな精神的プレッシャーで追い詰められてきた。被災者に対する非人道的な施策の是非を正面から問う裁判になる」と述べた。
 応急仮設住宅を巡っては、福島県が20年3月、今回の原告とは別の江東区の4世帯に住宅の明け渡しを求め提訴。4世帯の一部は反訴するなどして争っている。

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