春告げる あれこれ

2022年3月12日 07時03分
 例年より厳しい寒さだった冬も過ぎ、ようやく春の訪れが感じられるようになってきた。ウメやサクラの開花にホトトギスの初鳴き−。そんな昔から伝わる「春の使者」の他にも、季節の変わり目を告げてくれるものを探してみた。

◆さらば「おでん」そろそろアイス!

 冬といえばおでん。コンビニのレジ脇でおいしそうに湯気を立てているコーナーも目にする。寒い時季ほど売れそうだが、大手コンビニ関係者は「需要は九月ごろがピーク」と指摘。それ以降の売り上げは減る傾向にあり、秋冬の訪れの目安と言えそうだ。
 商品の売れ行きと気温の関係を基に、品ぞろえを変える手法は「ウェザーマーチャンダイジング」と呼ばれる。おでんや日本酒などは、気温が下がる時季に売り上げが伸びる「降温商品」、アイスやビールなどは気温が上がる時季に売れる「昇温商品」と呼ばれる。おでんで季節を感じられるのは、秋ごろの気温低下がポイントになるようだ。
 これからは、気温が高くなる時季が商品の売れ行きを決める。日本アイスクリーム協会のHPによると「アイスクリームがおいしい」と感じられるのは約二四度で、東京の平年値では五月ごろの最高気温にあたる。季節は春を通り越して初夏になるが、この時季のアイスの品ぞろえが季節の変化を感じる目安になるかもしれない。

◆飛行機はもうすぐ「夏ダイヤ」

 春になると飛行機のダイヤは「夏ダイヤ」に切り替わる。これは欧米の「サマータイム」に合わせているだけではなく、西から東へ吹く偏西風の強さも関係している。
 偏西風は南北の気温差が激しいほど強く吹く。冬になると北極の空気が一年で最も冷たくなるが、赤道付近の気温は年間を通してあまり変わらない。このため、強い偏西風「ジェット気流」は夏の倍にまで速度を上げる。
 成田から東側にあるロサンゼルスなどに向かう時、飛行機は追い風に乗ってスイスイ進む。逆に、成田に向かう時は向かい風にさらされる。日本航空によると、冬に成田に向かう便の飛行時間は、夏に比べて1時間ほど余分にかかるという。偏西風の強さの差が、夏と冬とでダイヤが異なる理由の一つだ。
 ただし、偏西風の強さを予測して毎年切り替え時期を変えると混乱するので、各国の航空会社が加入する国際航空運送協会(IATA)によって、夏ダイヤへの変更は3月最終日曜日と決められている。

◆暮らしに根付く「雪形」

富士山の8合目付近の山肌に出現した「農鳥」(円内)=2018年、山梨県富士吉田市で

 衛星や地上観測で気象データを集められるようになるまで、先人たちは自然現象から季節の移ろいを読み取ってきた。山の残雪が描く模様「雪形」による判断もその一つ。4〜5月になると、山梨県富士吉田市側から見た富士山の7〜8合目に「農鳥」が現れる。
 同市によると、かつては農鳥が出る頃に種もみを苗間に下ろし、残雪の形が卵形になったら田植えをする目安としていたという。
 福島県の吾妻小富士では「種まきウサギ」、五龍岳には長野県側から見ると戦国時代に信州を治めた武田家の家紋「武田菱(たけだびし)」が現れる。 

◆桜の開花は早め 東京は23日?

 気象庁の予報によると、三月の気温は平年並みか高い見通し。三〜四月は天気が周期的に変わるが、平年並みに晴れ間が出ると予測している。低気圧と移動性高気圧が次々に日本を通過しながら次第に暖かくなっていく「三寒四温」を感じられそうだ。
 日本気象協会によると、桜の開花は東京都千代田区では、平年より一日早い三月二十三日と予想。その他の関東六県でも平年より二〜三日早いところが多く、三月中には開花するとみている。
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 文・布施谷航
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