戦争と女性デーと震災と

2022年3月12日 07時44分
 何を社説のテーマに取り上げるべきか、日々頭を悩ませています。ニュースが多い日は特に、です。先週はロシアのウクライナ侵攻に、新型コロナ対策のまん延防止措置の期限延長が重なり、やむなく「ぎろんの森」を休載しました。二週間ぶりの掲載です。
 ロシアのウクライナ侵攻は終息の見通しが立たず、多くの市民が傷つく状況に胸が痛みます。侵攻を止めるために私たちに何ができるのか。日々議論を続けています。
 戦火がやまぬ中、三月十一日を迎えました。東日本大震災から十一年。切りのよい節目の年ではありませんが、九日から三日間にわたり、長文の社説を掲載しました。これまでと変わらぬ取り組みは、震災や原発事故を決して忘れない、という私たち論説室の決意の表れでもあります。
 初回の九日社説では、原発事故で、福島県から新潟県に自主避難した被災者を支援する団体「スマイルサポート新潟」の奮闘ぶりや抱える問題などを紹介しました。
 早速、読者から本社に「社説を読んで支援したくなりました」との連絡をいただき、支援団体の連絡先をお伝えしました。
 本紙の社説がきっかけとなり、つらい思いをしている人に手を差し伸べる支援の輪が広がることは私たちの喜びであり、励みにもなります。
 この前日、八日は「国際女性デー」でした。一九〇八年に米ニューヨークで、女性たちが政治参加の権利や労働環境の改善を求め、大規模な行進をしたことが起源とされ、七五年に国連が定めました。
 八日の社説「気づき、そして変わる」では、九二年に判決が出た日本初のセクハラ裁判を振り返り、男女不平等の現実に気づくことが、自分自身を、そして社会を変える力になると訴えました。
 振り返れば帝政ロシアを倒したのは、戦争と貧困に苦しむ女性労働者が国際女性デーに行ったデモでした。当時の暦で二月革命と呼ばれます。
 こう考えると、全く別の出来事のように見えるロシアの侵攻と国際女性デーがつながり、ロシアによる原発攻撃や核の脅しは、原発事故後の福島の困難を想起させます。
 戦争で苦しむのはいつも立場の弱い人です。武力でなく民衆の力で戦争を止める方法はないのか。難題ですが、答えを探し続けます。 (と)

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