小栗大地「初心者を3回」から上達への探求心<スノーボード男子バンクドスラローム>

2022年3月12日 12時00分
男子バンクドスラローム大腿障害の競技を終えた小栗大地=張家口(共同)

男子バンクドスラローム大腿障害の競技を終えた小栗大地=張家口(共同)

 【張家口=高橋淳】どこまでも、うまくなりたい—。北京冬季パラリンピックで11日、スノーボード男子のバンクドスラローム大腿だいたい障害で7位だった小栗大地(41)=三進化学工業=は、成長の喜びを糧に、厳しいトレーニングを積んできた。「できないことができるようになる、わくわく感」が原動力だ。
 雪面に触れそうなぐらい前へ後ろへと体を傾けてバランスを取り、くねくねと曲がる540メートルの下り坂を滑り降りる。大会最後の出場種目で、最高の滑りは見せられなかった。でも「今の実力は出せたかな」と語る表情は穏やかだった。
 「初心者を3回やっているんです」。日本スノーボードチームの大黒柱は、こう明かしたことがある。
 最初は親戚に誘われて初めて雪上に出た小学生の頃。めきめき上達し、25歳でプロになった。2度目は義足で初めて滑った32歳の冬。その年の夏、勤務先の板金加工会社で鉄板の束の下敷きになり、右脚を膝上から切断した。
 スノーボーダーとしての再出発は「棒立ちで斜面の上から下まで降りてくる」ところから始まった。初めて雪上に出た時のように、できることが増えていくのがうれしかった。
 パラ初出場の2018年平昌大会の後、三たび「初心者」に戻る。滑る時のスタンスで前後の足を入れ替えた。「野球でいえば右投手が左投手になるようなもの」
 平昌大会は2種目で最高6位。「このままではトップに追いつけない」と痛感し、決断した。軸となる後ろ足を、自由がきく左足に変えるためだった。何度も転び、「体はバキバキ」に。鎖骨も2度折った。上達するだけなので、試行錯誤は苦しくなかった。北京大会では結果に結び付かなかったが「確実に速くなった」という感触をつかんだ。
 うまくなりたくて、スノーボードを続けている。「パラリンピックの金メダルは目標だけど、目的ではない」。今は競技としてタイムを競うが、ジャンプやハーフパイプなどによる「表現」にも興味がある。スノーボードにゴールはない。

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