最後の表彰台、逃しても笑顔 「夏冬二刀流」村岡桃佳、5種目で金3、銀1「やり切ったな」<アルペンスキー女子座位>

2022年3月13日 15時00分
女子回転座位の競技後、金メダルのアナレナ・フォルスター(右)と笑顔で写真に納まる5位の村岡桃佳=北京で(共同)

女子回転座位の競技後、金メダルのアナレナ・フォルスター(右)と笑顔で写真に納まる5位の村岡桃佳=北京で(共同)

 【北京=高橋淳】「夏冬二刀流」の挑戦、完結―。北京冬季パラリンピックで、アルペンスキー女子座位の村岡桃佳(25)=トヨタ自動車=が12日、最終種目の回転で5位となり、計4個のメダルで大会を終えた。前回平昌大会の翌年に陸上挑戦を表明してから、「北京がゴール」と宣言してきた。夏の東京大会陸上100メートル6位入賞を経て、メダルラッシュでチャレンジを全うした。
 「すごくやり切ったなと思っています」。回転のレース後、晴れやかな笑みを浮かべた。出場5種目で金メダル3個、銀メダル1個を手にした。最後の最後で表彰台を逃すも、悔いなし。「長くて、短くて、すごい忙しくて、あっという間だった」という連戦を終え、達成感があふれた。レースを心底楽しんだ。
 滑る喜びを忘れてしまった時期がある。平昌大会で金1個を含む5個のメダルを獲得。周囲の見る目が変わり、何より自分自身で「5種目メダリスト」のプレッシャーをかけていた。快挙の翌シーズン。スキーが嫌いになってくる。苦しくて夜な夜な布団で泣いた。ワールドカップ年間総合優勝は果たしたが、心の内は「スキーから逃げたい」。
 救いになったのが陸上挑戦だった。2年半、陸上に没頭すると「スキーをしたい」という気持ちが自然とわき上がった。東京大会で目標だった入賞を果たし、肉体も精神面も強くなって雪上に帰ってきた。
 新型コロナウイルス禍による東京大会1年延期で、北京との二兎にとを追う挑戦は「すごく長くてつらいもの」に。だからこそ「最後に笑って、やってよかったと思いたい」と話していた。
 二刀流挑戦の第2章は―。冬は4年後のミラノ・コルティナダンペッツォ大会を目指す姿が想像できるという。夏については「(日本に)帰ってゆっくり休んで、自分がどうしたいのか、気持ちをリセットして考えたい」と、しばしの休息をとる。

◆苦手の回転 荒れた雪面に苦労も「悔しさはない」

 日本選手団主将の重責をしっかりと果たした。アルペンスキー女子回転座位で村岡は5位にとどまったが、前日までに出場した4種目全てでメダルを獲得。金3個は前回の1個を上回った。「競技面だけでなく、それ以外の面でも成長できた」と充実感を漂わせた。
 ターンをするたびに大きく雪面を削った。ブレーキがかかり、スピードが上がらない。旗門が多い回転は、以前から苦手な種目。障害の影響で体幹が利きにくく、左右に振られた。この日は雪面が荒れて、板の動揺を抑える苦労も加わった。2本目は修正し、1本目より1秒以上タイムを縮めて意地は見せた。完走者9人で障害が重いクラスの選手は村岡だけ。「きょうの滑りに、悔いや悔しさはない」と納得の表情だった。
 表彰台の真ん中に立った5日の滑降から回転まで、8日間で5種目をこなした。気温上昇による突然の日程変更にも対応した。「言葉で表せないぐらいの疲労感はある」と苦笑いする。
 だが、前日にうれしいことがあった。コーチから、陸上挑戦から雪上に帰ってきて、メンタル面が強くなったと褒められたという。「他人から言われたことで、自分は変われたと自信を持てた。得られたものは大きかった」と「夏冬二刀流」の成果を喜んだ。
 日本を出発する直前の日本選手団結団式では、大役を担う緊張で声が震え、必死に隠しながら抱負を述べた。その後の記者会見で「自分から前に出ていくタイプではない。大丈夫かな」と不安を明かしていたが、堂々たる結果でけん引した。(北京・高橋淳)

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