<社説>ふるさと納税 国と地方は対等のはず

2022年3月16日 06時54分
 国が地方に科した“ペナルティー”を司法が違法と断じた。
 ふるさと納税制度で多額の寄付を集めた大阪府泉佐野市が「特別交付税を減らされたのは不当だ」と国に取り消しを求めた訴訟。大阪地裁は市側の主張を認めた。
 地方交付税(普通交付税と特別交付税)は、国が地方に代わって徴収する地方税。全国どこの自治体でも一定水準の行政サービスができるよう配分される。
 国は二〇一九年末、ふるさと納税制度で多額の寄付金を集めた泉佐野市への特別交付税を前年度より四億円以上減額し、五千三百万円とした。国の手法は国会審議を経ない「省令の改正」だった。
 しかし、判決は、地方交付税法が同制度の寄付金収入を減額の算定項目にしていないため、減額決定には国会による法改正が必要だと断じた。制度の不備を改めるより、力ずくで地方の振る舞いを正そうとした国の姿勢を批判した形だが、国は今週、控訴した。
 この訴訟の前から国と泉佐野市の間には対立があった。国は一九年夏、「返礼品は寄付額の三割以内の地場産品」などと基準を改め、同市は制度から外されたため、今回とは別の訴訟で国と争い、「除外は違法」とした二〇年の最高裁判決で市の勝訴が確定した。
 今回、一審段階ながら、ふるさと納税を巡る訴訟で同市が再び国を退けた。国の当事者は地方分権に旗を振るべき総務省。国と地方は対等のはずだが「国が命じ、地方が従う」との意識が垣間見える点、国には反省が求められよう。
 ただ、あまりに貪欲な寄付金集めの姿勢も疑問だ。同市の場合、寄付金累計は一千億円超。かつては通販のギフト券など「ふるさと」とは縁遠い返礼品もあり、国全体のふるさと納税額の一割を占めた年も。その後、減少したが二一年度は百億円台を回復するという。
 一方、財政基盤が弱く、寄付金が年間一千万円に達しない自治体は五十を超す。生まれ育った故郷を応援しようとの趣旨で始まった制度だったが、ここでも「競争」による格差が広がっている。
 もちろん、地場産業の育成や、税の使い道に対する意識の向上などのプラス面も大きい。災害に苦しむ自治体を助ける場合も少なくない。返礼品への意見はさまざまだ。運用のルールを磨き上げて、真に地方のためになる制度として充実させてほしい。

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