台風直後、海上のプラスチックごみ1300倍に 偶然実現した相模湾の調査で分かったこと

2022年3月16日 12時00分
 首都圏に暴風雨をもたらした台風が、陸から海に流れ出るプラスチックごみの量を平常時の約1300倍にした。海洋研究開発機構(本部・神奈川県横須賀市)が3年前の台風15号の通過前後、相模湾で海上のごみの量を調べて明らかにした。冷蔵品などを入れる発泡スチロールの箱が砕けたとみられる小さな粒が特に多かった。中嶋亮太・海洋プラスチック動態研究グループリーダーは「再利用できる保冷容器に変えないと大きな問題になる」と指摘する。(神谷円香)

◆台風3日前と通過後を比較

 他の調査のため航海中だった機構の船が、2019年9月の台風接近時に急きょ調べた。中嶋さんが「(船が)海上にいたからできた」と話すように、偶然にも天候とのタイミングが合った貴重な調査となった。台風通過の3日前と1日後、3日後の3回、相模湾の沿岸から約30キロの地点で、海表面に浮いているプラスチック粒子を採取した。

海面をすくうように引いてプラスチック粒子を採取するネット=海洋研究開発機構提供

 粒の大きさが5ミリ以下のマイクロプラスチックと、5ミリ~25ミリのメソプラスチックについて、1平方キロメートル当たりの数と重量を比較した。台風前の重量はマイクロとメソを合わせて0.1キロに満たなかったが、通過1日後は91キロに急増。しかし、3日後には再び0.1キロに減った。

◆発泡スチロール由来が大半か

 研究グループを驚かせたのは、発泡スチロール由来とみられるプラスチック樹脂である「ポリスチレン」粒子の数が全体の82%を占めたことだ。中嶋さんは「粒の大きさがほぼ一緒で、小さな球体を熱でくっつけている発泡スチロールだったと推測できる」と話す。

台風通過前(左)と通過1日後(右)に採取した試料。(右)ではプラスチックと木くずが非常に多く採取された=海洋研究開発機構提供

 発泡スチロールは軽く、庭先でプランターなどに使うと少しの風でも飛ばさればらばらになる。「すぐごみになる。減らさないと駄目。先進的な企業は製品の梱包に使わなくなっている」と中嶋さんは指摘する。
 海に流れ出た粒子の動きを予測すると、60~70%は48時間のうちに湾外に出た。残りは再び陸に打ち上げられたか、少しずつ流れ出すとみられる。ただ、どこにどれだけ流れ着くか、あるいは海底に沈むのかは、沿岸などを詳しく調べなければ分からない。
 海外の調査では、プラスチックは世界で年間800万トンが海に流出していると推定されるが、気象現象の影響を具体的に調べた研究はほぼないという。中嶋さんは「地球温暖化で台風の規模が大きくなっている現状がある。災害でどれくらいごみが出るかを知るのは非常に重要だ」と話した。

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