バス運転手の過労対策 休息9時間案を了承 厚労省審議会 国際基準の11時間は努力義務に

2022年3月16日 19時46分
 運輸業界の過労対策を議論している厚生労働省の審議会は16日の作業部会で、バスの運転手が勤務を終えてから次の始業までに取る休息時間について「最低9時間」とする厚労省の報告案を了承した。同省が国際基準に合わせ当初提案していた「11時間」は、経営側の反対などを受け、罰則がない努力義務にとどまった。
 タクシー運転手についても18日に審議し、同様に休息を「最低9時間」とする案で合意する見通しだ。2024年度から施行する。
 バス運転手の現在の休息時間は1989年の告示で「最低8時間」と定められている。この基準だと、通勤や食事に要する時間を除けば睡眠不足になることから、厚労省は当初最低11時間とする案を提出したが、経営側が反対し「9時間」案に軌道修正した。

オンラインを通じてバス業界の経営者、労働組合らが参加して行われた厚生労働省審議会=16日、厚労省で

 前回作業部会では識者の委員が乗客など国民の安全を守る観点から、10~11時間以上の休息時間が必要と主張したが、経営側は譲らず、「11時間を与えるよう努めることを基本にする」との文言を盛り込むことなどで決着した。拘束時間も短縮され、年間の上限は従来から80時間短い3300時間になった。
 休息時間が9時間の場合、往復の通勤で2時間かかる人は、食事、入浴で計3時間使うと睡眠は4時間程度しかとれない計算だ。このため日本労働弁護団は厚労省案について「脳や心臓疾患を引き起こすリスクを容認する」との声明を出し、「バス、タクシー、トラックいずれの業種も休息時間は11時間とするべきだ」と主張している。審議会に参加していない労組からも「9時間では睡眠不足が解消できない」との批判が出ていた。(池尾伸一)

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