観光バス会社 コロナに負けない 新しい旅の楽しみ方提案 トゥクトゥクで花見、愛犬と一緒に観光

2022年3月17日 07時06分
 新型コロナウイルス禍で観光業の停滞が続く中、葛飾区と千葉県の観光バス会社二社がユニークなツアーを企画し、評判を集めている。団体旅行の需要回復が見込めない中、個人をターゲットにした旅の楽しみ方を提案する。
 「これからの観光はプライベート空間を演出し、個人の満足度をいかに高めるかが鍵」。葛飾区内の観光も手掛ける千葉県松戸市の観光バス会社「HYK」社長・鳥栖裕司さん(61)はそう強調する。これまで旅行客用の小型バス、外国要人向けのハイヤーなどを運行していたが、コロナ禍で需要は激減。新たな戦力としているのが、タイなどで普及する三輪自動車「トゥクトゥク」だ。

HYKが導入したトゥクトゥク。鳥栖裕司さん(右)は「夏の海や秋の紅葉を見るツアーも計画したい」と意気込む=葛飾区柴又で

 六人が乗車でき、壁がなく天井も透明なため視界が広い。同社は六年前に二台購入したが、有効な活用方法を見いだせずにいた。各地でイベントの中止が相次ぐ中、トゥクトゥクを使ったツアーやイベントを思い付いたという。
 ただ、トゥクトゥクはタクシーなどのように旅客輸送業の許可が取れず、乗車料金をもらって人を運ぶことができない。そのためツアーでは、集合場所から目的地まで小型バスなどで移動し、参加特典として、観光スポットをトゥクトゥクで巡ってもらう。

視界が開けて開放感たっぷりのトゥクトゥクの車内

 二〇二〇年秋以降、葛飾の観光地・柴又や菓子店を巡る無料ツアーを三〜四回実施したところ、すぐに予約が埋まった。鳥栖さんは「観光のニーズはまだある」と確信したという。
 現在、まちおこしなどに取り組むNPO法人「たのしいまなびとあそびの研究所」(葛飾区)を通じ、桜の名所で知られる松戸市の常盤平を巡るツアーを開催中。鳥栖さんは「風を感じて走る開放感があり、いつもの街が違って見える。移動自体を楽しんでほしい」と話す。子ども向けの乗車イベントも開催している。

 一方、葛飾区東水元の観光バス会社「B・I・G」は大型バス二台を改装し、愛犬と一緒に観光できるツアーを始めた。

B・I・Gが企画した愛犬との観光バスツアー。座席と通路をロールスクリーンで仕切り、犬同士がけんかしないよう、左右の座席をずらしている=B・I・G提供

 座席を四十八から二十八に減らし、席の前には犬のキャリーバッグを置ける台を設置。座席と通路の間はロールスクリーンで仕切り、犬が席から離れないようにした。床は歩きやすい木材に、座席の色はリラックスしやすいとされるオレンジ色にするなど、犬に配慮している。
 コロナ禍で同社の観光バスの九割は稼働できず、維持費がかさんでいた。そんな時、社長の萩原正規さん(58)は知人などから「ペット連れの旅行は難しい」「高齢になり自分で車で出掛けられなくなった」といった声を聞いた。「コロナ禍の輸送事業では、お客さんに合ったものを提供しないと競争できない」と、ペット連れのバスツアーを思い付いたという。

座席の前にキャリーバッグを置ける=B・I・G提供

 昨年秋以降、新宿駅発着で埼玉県飯能市のムーミンバレーパークや神奈川県の江の島を訪れるツアーを開催。参加者からは「快適」「犬をケースに入れなくても乗れた」と好評だったという。
 現在は月一回ペースの開催だが、今後は回数を増やし、行き先も広げるつもりだ。萩原さんは「コロナ禍でペットを飼う人が増えているが、預ける先は少ない。今後はお年寄りとペットのツアーも考えたい」と意気込む。
 文と写真・太田理英子
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