公的支援見つかるサイト 苦労重ねた女性が開発 回答結果を印刷→窓口に持参説明楽に

2022年3月17日 09時51分

「お悩みハンドブック 全国版」のトップページ

 このサイトは「お悩みハンドブック 全国版」=サイトページ。行政手続きのデジタル化を手掛けるIT企業「グラファー」(東京)が運営する。個人情報の登録は必要なく、すべて無料で使える。
 案内する解決手段は、お金や仕事、住まいなどに関する公的な支援制度や相談窓口など二百二十八種類の情報を用意。利用者が年代を選んだ後、十前後の質問に選択式で答えていくと、それらの情報の中から、悩みに応じた支援制度などをピックアップして提示する仕組みだ。
 例えば、成人で精神的な健康を損ない、食事もままならず、死にたい気分になるが精神科にはかかっていない、という設定で回答すると、障害年金、精神科救急情報センター、摂食障害情報ポータルサイトなど、三十八件の情報が示された。各制度の概要から手続きに必要な物、注意点なども解説されている。
 サイトを開発した同社社員の佐藤まみさん(28)=写真=は「不登校や虐待、いじめ、精神疾患などの困難は大抵、連鎖していて、幅広い支援が必要な人が多くいる。でも、複雑な支援が必要な人ほど、制度を使いこなすのは難しい」と話す。情報が役所や部署ごとに散在していて、どこに自分が頼れる仕組みがあるのか分かりにくいからだ。
 佐藤さん自身、母親の精神疾患などで子どもの頃から苦労したが、支援の仕組みが多くあるのを知ったのは大学進学後。窓口にたどり着いても、同じことを何度も聞かれて精神的に疲れてしまう。そんな人を減らしたいと、二年前、同社の最高経営責任者(CEO)の石井大地さんにサイト作りを提案して入社。支援制度などの情報を集め、専門家の監修を受けながら説明文や質問も考えた。
 質問では、「ドメスティックバイオレンス(DV)の被害者ですか?」といった抽象的な表現をしないようにした。「本当に困っている人は、その状況が当たり前になっていて、自分がその分類に入っていることに気付かないことも多いから」と佐藤さん。「不安や身の危険を感じる相手がいるか」と尋ねた上で相手を聞き、虐待か配偶者暴力か、いじめかを判断する。
 また、回答結果を紙に印刷し、役所などの窓口の担当者に示すことで、何度も説明する手間が省け、担当者も理解が進む。「一緒に考えてほしい」「事実確認は最小限にしてほしい」など、希望する関わり方も選択して示せる。担当者との感覚のズレで、不快に感じたり失望したりすることも防げそうだ。
 サイトは、開設約二カ月で利用者数が延べ十六万人を超え、大きな反響を呼んでいる。佐藤さんは「多くの人たちが必要なときに適切な支援につながりやすくなるよう、利用者の意見を聞きながら、より使いやすくて役立つサイトにしていきたい」と話す。
 困っているけれど、どんな支援があるか分からない−。そんな人のために、スマートフォンやパソコンから質問に答えていくだけで、自分に合った公的な支援を見つけられるサイトが一月末に公開された。開発したのは、家族で多くの悩みを抱えながら、必要な支援を受けられずに十代を過ごした女性。「自分と同じような思いをしないように」と二年がかりで完成させた。 (佐橋大)

関連キーワード


おすすめ情報

ライフスタイルの新着

記事一覧