「申し訳ない」ロシア系住民も支援 ウクライナ系住民が多い米NY「リトル・オデッサ」

2022年3月17日 18時47分
 全米最多の約15万人のウクライナ系住民が暮らす米ニューヨーク市には、ウクライナの港街にちなみ「リトル・オデッサ」と呼ばれる地区がある。同国系のほか、ロシア系など旧ソ連圏の出身者が多い。ロシアのウクライナ侵攻から3週間。「国と人は別物だ」。共存の街はルーツの違いを超えて平和を願っている。(ニューヨーク・杉藤貴浩、写真も)

ロシア語の看板が並ぶ米ニューヨークの「リトル・オデッサ」。旧ソ連圏出身の住民が多く暮らす=杉藤貴浩撮影

 リトル・オデッサは、ニューヨークの中心マンハッタンから地下鉄で45分。現在ロシア軍の脅威にさらされるウクライナ南部オデッサと同様、海を望む土地だ。3万人超の住民のうち7割以上が外国生まれ。ウクライナとロシアに加え、ロシアと同盟関係にあるベラルーシ、中央アジアの旧ソ連構成国ウズベキスタン出身者が多くを占める。
 「いまショーウインドーを拭くから、きれいに撮っていって」。街の服飾店の外から、ウクライナ国旗をイメージした青と黄色の服をまとったマネキンにカメラを向けると、清掃人の男性に声をかけられた。通りに同国旗を掲げる店も多い。

米ニューヨークの「リトル・オデッサ」の服飾店で7日、ウクライナ国旗をイメージした服をまとうマネキン=杉藤貴浩撮影

 「戦火にさらされたウクライナを、みんなが助けたいと思っている」。付近の「ガーディアン・エンゼル教会」に司祭のセルジー・エマニュエルさん(46)を訪ねると、今の街の雰囲気をそう教えてくれた。「ウクライナ系や中央アジア系でもロシア語を話せる人も多く、人々は出身国よりもロシア語という共通点で緩いつながりを持っている」。自身は10年ほど前にウクライナからこの街へ。母国には、ロシア軍の進軍におびえる弟が残る。
 侵攻開始以来、教会にはウクライナへの支援物資が地元住民から次々と寄せられている。

米ニューヨークの「リトル・オデッサ」で7日、教会に寄せられたウクライナへの支援物資を仕分けするインナ・アーテメンコさん=杉藤貴浩撮影

 ロシア系の人々の中には、支援の品を手に「申し訳ない。自分はロシア出身なんだ」と謝る人もいるという。エマニュエルさんは「そんなこと言わないで。国家や政府と人間は別々のものだよ」と返すしかない。「われわれだって、ロシアの人が大好きなのに」
 教会の奥で、支援物資の仕分けをしていた地元のウクライナ人インナ・アーテメンコさん(42)は「互いの争いに毎日泣いて暮らしている。平和が戻るのを祈るしかない」と話した。

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