<社説>東北で震度6強 経験を備えに生かして

2022年3月18日 07時39分
 あの震災が想起され眠れぬ夜を過ごした人も多かったのではないか。福島県沖を震源とする十六日夜の地震で、東日本大震災の被災地、宮城県と福島県で震度6強を観測した。数分間に二度の長い揺れが広範囲で体感された。
 東北地方を中心に多数の死傷者が出るなど被害は小さくない。東北新幹線は脱線し、東北自動車道ではひび割れが起きた。東北沿岸部では高さ数十センチの津波が観測され、大規模停電や建物の損壊も各地であった。福島第一原発などで使用済み核燃料プールの冷却が一時止まったほか、現地の工場や物流にも影響が出ている。
 可能な限り日常の生活を取り戻す−。岸田文雄首相が会見し、新型コロナ対策のまん延防止等重点措置を週明けに全面解除する意向を表明した直後の発生だった。新幹線や道路など基幹インフラの復旧が長期化すれば、ただでさえコロナ禍で疲弊している被災地の社会経済活動がさらに停滞することは免れない。官民を挙げ、中小零細企業や市民生活を支援したい。
 福島県沖では昨年二月にも震度6強の地震が発生するなど、東日本大震災以降、数年おきに巨大な地震が起きている。気象庁は今後一週間前後に同程度の地震が発生する恐れを指摘しており、引き続き警戒態勢は解けない。目前のこととしては、この週末、低気圧や前線の影響で大雨が予想される。揺れで地盤が緩んだ箇所も各地にあるとみられ、土砂災害などへの注意も怠ることはできない。
 毎年のように大災害が日本列島を襲う昨今、日常と非日常が隣り合わせにある感覚だ。今回の地震に驚き、慌てて逃げようとしてけがをした人もいたようだが、非常時にも冷静な対応を意識したい。
 真夜中の地震を体感し、ラジオや懐中電灯、防災グッズを枕元に常備する必要性や停電、落下物の怖さを再認識した人もいよう。水や食料、携帯トイレの備蓄は十分か。津波警報が出されるなど、事態の変化に合わせてどんな行動をとるべきか。災害には誰しも遭いたくないものだが、その経験を基にして、家族らで常に対策を話し合い、随時見直すことも肝要だ。

関連キーワード


おすすめ情報