<新型コロナ>水商売協会 クラブのママら窮状訴え 「生きていけない 休業いつまで」

2020年5月24日 02時00分

新型コロナウイルス対策のガイドラインについて説明する日本水商売協会の甲賀香織代表(左から2人目)=22日、東京都港区で

 「じゃあ私たち、一体どうやって生きていけばいいんですか?」。首都圏でも新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言の解除の準備が進む中、ナイトクラブやキャバクラ店など接待を伴う飲食業が危機に陥っている。経済的にはすでに限界を超えており、性風俗に身を投じる女性も出始めている。クラブのママやキャバクラ嬢らがマスク越しに声を上げた。 (木原育子)
 二十二日夜、全国のナイトクラブやキャバクラ店で働く女性ら約千人でつくる「日本水商売協会」(東京都新宿区)が都内で会見を開いた。「バブルがはじけた時もリーマン・ショックの時も、何とかくぐり抜けてきた。でも、今回は苦しくて仕方がない」。銀座で四店舗を経営するママ、望月明美さん(55)が窮状を訴えた。十七歳でこの業界に入り、三十一歳で店を持った。現在は百人の女性を抱え、シングルマザーも多い。LINE(ライン)で励まし合う日々だが、読んだことを示す「既読」が付かない女性が日に日に増える。
 水商売協会代表の甲賀香織さん(39)は「営業再開できた時には、店が半分ほどに減っている恐れもある」と危機感をあらわにする。「家賃が払えず東京を去ったり、経済的な苦しさに付け込まれ男性客から嫌な思いをさせられたり、性風俗で働き始めたりする女性が出てきている」
 国の緊急事態宣言前から休業要請を受け、都が二十二日に公表した休業要請の緩和に向けたロードマップ(行程表)でも対象に含まれなかった。最も長期間、休業のあおりを受ける。
 水商売協会では経営悪化により、休業要請の解除を待たずに再開する店もあるとみて、独自にガイドラインを作成し、この日の会見で公表した。日本感染症学会の医師の監修で、店内では席の間隔を空け、マスク姿で接客することや女性の「チェンジはなし」とすることなどを盛り込んだ。客に渡航歴や体温、連絡先などの健康状態を記入してもらい、保健所から要請があれば提供するなど、これまで客のプライバシー保護を優先してきた業界にとって画期的な内容になった。
 だが、ガイドラインを評価したのは千葉県だけで、東京都は一カ月以上返答がなく、埼玉県からは「認められない」と回答された。甲賀代表は「営業を再開する店舗は、もはや生きるためにやむを得ない状況。政治家が名指しで休業要請するほどクラスターの危険性が高い業界だと認識しているなら、言いっ放しではなく再開に向けて力を貸してほしい」と語気を強める。
 水商売協会は二〇一八年十二月、「水商売」のネガティブなイメージを払拭(ふっしょく)するため設立された。今年四月には自民党本部を訪れ、業種による支援の差をなくすよう要望。接待を伴う飲食店などでも融資を受けられるよう変わった。
 名古屋市で十三年間キャバクラ嬢をしてきた小川えりさん(32)は会見で「キャバ嬢もマスクして接客してあたり前って感じに変わらないといけない。業界が変わるチャンスだと思う」と真剣な表情だった。

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