ピンチも奮闘 岳南電車にテツ魂 元私鉄運転士のタレント・響さんが応援

2022年3月21日 07時43分

岳南愛を語る響丈さん

◆多彩なイベント 社員にアナウンス伝授 ファンの心響く

 富士市内を走る岳南電車は全長九・二キロと短いが、SNS(会員制交流サイト)のユニークな発信や多彩なイベント開催といった工夫で、ファンの心をつかんでいる。そんな縁から心強い味方になったのが私鉄運転士歴があり、車内アナウンス経験も豊富なタレント響丈(ひびきじょう)さん(44)。社員にアナウンス術を指導するなどローカル私鉄を盛り立てる。響さんは「味わい深い路線。少しでも力になれたら」と元プロの「テツ」として心意気を示す。(藤浪繁雄)
 響さんは東京の京王電鉄に十年以上勤め、駅員や車掌、運転士を経験。六年ほど前「ラジオでしゃべる仕事をしたい」と一念発起し、かつて訓練を受けた発声技術を生かして転身。異色の経歴が注目を集め、ナレーターやラジオ出演などで活躍。滑舌の良さや穏やかで落ち着いたトーンの声で支持が広がっている。二〇二〇年には、ボイストレーナー業も始めた。
 また、ユーチューバーとしても好きな鉄道に絡んだ発信も多い。その一環で、岳南電車の公式ツイッターとの関わりが始まった。
 「岳ちゃん」と称する岳南のツイッターは一九年ごろから竹村優一郎さん(27)が発信。沿線や車両の情報などを親しみやすい文体でつづり、フォロワーを大幅に増やしてきた。
 富士市東部の吉原−岳南江尾を結ぶ岳南電車は、主に工場地帯を走る。旅客数の減少傾向に加え、二〇一二年には貨物輸送が廃止となり、収益は悪化。市から毎年補助金を受けるなど運営は楽観できない。竹村さんは「岳南の存在を知ってもらい、利用していただきたい」と願い、ツイッターでは投稿者のつぶやきにまめに反応。地に足を着けた交流を大切にし、ファンを増やしている。

富士市内を走る岳南電車(岳南電車提供)

 多彩なイベントも岳南ファンを増やした要因。夜間帯に工場地域などを楽しむイベント「夜景電車」などは名物となった。ツイッター仲間の響さんも車両を貸し切って私的イベントを開き、自身のユーチューブでその模様を発信した。その時の運転士の山田健(たけし)さん(38)とも「同業つながり」の縁で意気投合。SNS上だけでなく、折に触れ岳南に乗りに来る響さんと親交が深まっていった。
 そんな交流が発展して昨年暮れ、響さんは岳南社員を対象にした車内アナウンスの講師を務め、発声のイロハや抑揚などを指導した。竹村さんは「教えてもらった後、みんなのアナウンスが見違えた。伝えたいという意識が高まり、気持ちがこもってきた。お客さまにワクワクしてもらえると思う」と振り返る。コロナ禍の状況が改善し、イベントが開催できるようになった際には磨きのかかったアナウンスも披露できる。

昨年暮れ、社員にアナウンス術を指導する響丈さん(右)=富士市で(岳南電車提供)

 ほかにも響さんのアナウンス技術を活用する案が検討されている。交流から始まった縁をかみしめる響さんは「厳しい状況のローカル鉄道は多く、岳南電車もそうかもしれないが、鉄道は地域の資産。線路をはがす(廃線にする)と二度と戻らない。岳南もずっと残ってほしい」と祈りつつ、可能な応援を続ける。

◆響丈さんの「岳南電車架空アナウンス」を動画でお楽しみください。


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