【動画】「空き地」の下に高濃度汚染 増え続ける放射性廃棄物 事故から11年の福島第一原発

2022年3月21日 12時10分
 東京電力福島第一原発の事故収束作業では、さまざまな放射性廃棄物が発生し続けている。過去に使われた車両や装置、汚染水処理に伴う汚泥や貯蔵容器…。3月2日、原発取材班が構内で見聞きした廃棄物の状況を報告する。(山川剛史、地上写真も)
 今回、東電に取材地点に加えてくれるよう特に強く要望したのが、北側敷地に集積される無数の廃棄車両と、事故発生の2年後に高濃度汚染水漏れを起こした地下貯水池を、それぞれ間近に見ることだった。

①事故発生当初、原発構内で使われていた消防車や重機など。汚染のため持ち出せず、北側敷地に約1200台が集積されている(撮影地点付近の空間線量は0.6~13.4マイクロシーベルト/時)


①建屋周りで使われたためか、消防車に線量計を近づけると毎時13.4マイクロシーベルトまではね上がった

 廃棄車両には「構内専用車両」のステッカーが貼られ、当初構内で使われていたことを物語っていた。集積場の外は毎時0.6マイクロシーベルトだった空間線量が、線量計のセンサー部を伸ばして車両に近づけると、どれも大なり小なり線量が上がった。横浜市にある東電の火力発電所から応援に来た消防車は、毎時13.4マイクロシーベルトにまではね上がった。

②北側敷地で、廃棄物をコンテナに詰める作業員


②北側敷地に積まれる廃棄物コンテナや土のう入りの廃棄物


③5、6号機北側にある防護服の焼却施設。手前に積まれるのは防護服用のコンテナ

 その周辺では廃棄物入りのコンテナが積み上げられ、広大と思っていた廃棄物エリアが、時とともに狭くなっているのを実感した。

④1、3号機のがれき処理で使われた吸引装置など。離れた場所でも毎時22.5マイクロシーベルトを計測する機械もあった(撮影地点付近の空間線量は4.3~22.5マイクロシーベルト/時)


3号機タービン建屋上の小さいがれきを掃除する吸引装置(通称ぞうさん)=2020年1月撮影

 かつて問題を起こした地下貯水池は、何も知らずに現場に立つと、砂利を敷いたがらんとした空き地にしか見えない。だが、簡易の遮水層と樹脂製の構造物でできた池には、2013年4月当時、計約2万3600トンもの高濃度ストロンチウム汚染水が入っていた。

⑤大半のボルト締め型タンクは解体されたものの、底部に高濃度の汚泥が残り、解体できていないタンクも残る(撮影地点付近の空間線量は2.6マイクロシーベルト/時)


⑥5、6号機の汚染水を貯蔵するボルト締め型タンク。昨年水漏れが発生し、鋼板の接合部を補修して使っている(撮影地点付近の空間線量は1.7マイクロシーベルト/時)


⑦2021年2月の地震の衝撃でずれ、その痕跡が残る処理水タンク(撮影地点付近の空間線量は0.4マイクロシーベルト/時)

 東電は「(ストロンチウムなどを)再浄化した水を入れる」としていたが、タンク不足を理由に事前説明もないまま高濃度汚染水を入れた。一部が漏れ、現場はタンクを急造しては移送するなど大混乱に陥った。

⑧2013年4月に高濃度汚染水漏れが起きた地下貯水池。水は抜かれたが、汚染のため解体もできず放置されている(撮影地点付近の空間線量は0.9~3.1マイクロシーベルト/時)

 あれから9年たつが、複雑な構造物に放射性物質が付着し、作業は危険なため解体もできていない。

⑨高濃度汚染水を蒸発させた後の濃縮廃液を貯蔵する施設。コンクリート壁の奥に水色の貯蔵タンクがある(撮影地点付近の空間線量は4.0マイクロシーベルト/時)


⑩汚染水処理で発生した汚泥の入った容器や、吸着塔を貯蔵するエリア(撮影地点付近の空間線量は0.6マイクロシーベルト/時)

 敷地南側の高台は、相対的に放射線量が低いが、建屋周りの作業で使った装置や汚染水処理のフィルターなどが多くある。作業が進むにつれ、これら放射性廃棄物は増えていく。

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