<ぱらぱらじっくり 教育に新聞を>切り抜きコンクール 受賞作から(3)高校最優秀 コロナ禍の課題考察

2022年3月22日 07時48分

◆自分事(じぶんごと)として読めた

「それ、本当に他人事?」をタイトルにした作品(一部。記事部分は著作権の事情から加工してあります)

 コロナ禍だからこそ目に見える形で表面化した社会の課題がある。若者が直面したオンライン授業をめぐる困難さや、就職難。女性の自殺増加や離職…。新聞切り抜き作品コンクール・高校生の部で応募約四百点から最優秀賞に選ばれた作品「それ、本当に他人事?」は、そうしたさまざまな社会問題を報じる記事の切り抜きで構成された。
 作ったのは香蘭女学校(東京都品川区)の高等科二年、舘(たて)葵さんと柴崎結菜(ゆいな)さん。
 読むのがつらくなる、重苦しい記事ばかり。しかし自分たちも若者であり女性でもある。「無関心でいてはいけないな」(柴崎さん)と「自分事(じぶんごと)化」して向き合った。
 二人とも美術部員だけに、デザインや色づかいには力を注いだ。「紙面構成などを考えるのは大変ではあったけど楽しかった」(舘さん)。女性にかかわる記事の色分けにピンクを使いかけたが、「女性はピンク、男性は青」という固定観念に縛られたくなかった。「すごく二人で話をして最終的には暖色系のオレンジ色でまとめた」(舘さん)
 柴崎さんは途中で他の生徒たちと意見交換する時間が有意義だったと振り返る。「考え方の違いに気づけた。質問されることで作品のコンセプトを固めることができた」
 若い世代が、新聞を継続的に読んでいく。そうした学びは、親や祖父母の世代の目にはどう映ったのだろう。
 舘さんの両親は東京新聞の読者。就職氷河期の厳しさを経験した世代のため「貧困はひとごとではない。しっかり生きる力をつけてね」との思いで、娘に読んでほしい記事の切り抜きを食卓の壁によく掲示するのだという。
 葵さんは親から「読め」と言われると素直に読めない年ごろ。切り抜き作品づくりをしていることも明かさなかった。それだけに両親は、葵さんが社会問題を伝える新聞記事を自分事として読めていたことを大喜びした。
 母の佳菜子さん(42)は「もし理不尽な目に遭ったとき怒りを感じることができるかどうかは、社会に対してどの程度目が開かれているかによると思います。若い世代は社会や自分自身について深く知ることが必要で、そのための労力を惜しまないで」と話す。
 柴崎さんの祖父吉田精孝(きよたか)さん(80)はこう語る。
 「よくまとめたなあ。感心したし、感動した。新聞を読んで、社会のいろんな問題を把握し始めている。私も家内もそれが非常にうれしい。若い人たちが未来を引き継いでいくわけだから。『それ、本当に他人事?』という問題意識の作品にまとめたというところにね、私は感動したんですよ」 (東松充憲)

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