<ふくしまの10年・マスター、もう少し聞かせて> (4)汚染土、要求さまざま

2020年5月22日 02時00分

福島県大熊町の国道6号からは福島第一原発の排気筒が見える

 福島市の居酒屋「せら庵」の常連客の中には、現職の県議会議員(71)もいた。自宅と選挙区が県庁から遠いので、県議会開会中は店に近いホテルに宿泊して県議会に通っていた。議会開会中に、ひょっこりと一人で店に顔を出すのだった。
 初めて店で会ったのは一年半ほど前。原発避難者に対する県の住宅提供問題などについても店で議論したが、最も印象に残っているのは、除染で出た大量の汚染土などを長期保管する中間貯蔵施設(双葉町・大熊町)についてだ。
 この施設を巡っては、汚染土の搬入開始から三十年後の二〇四五年三月までに「県外最終処分」することが、設置法や、国、県、立地二町との協定書にも明記されている。
 ワイングラスをカウンターに置き、議員はこう語った。
 「三十年後、この協定書に署名した人が生きていると思うか? 仮に生きていても責任ある立場には絶対いない。そもそもあの汚染土、県外でどこの自治体が受け入れるんだよ。東京電力が出したものは東電の敷地に置くべきだ。県内で再利用するなんて認められない」
 県内の原発誘致の経緯や反対運動の推移を知る人物が言うと、説得力があると感じた。
 汚染土については、昨年取材したある自治体の市議が興味深い書類の存在を教えてくれた。この自治体の首長(当時)が復興庁に出した要望書だ。「常磐自動車道の四車線化について」という項目の末尾には「整備にあたっては、除染による除去土壌等の災害廃棄物について、積極的な再生利用を図ること」と書かれていた。立場が変われば要求も変わるわけだ。

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