<新型コロナ>路上生活者にも給付金を 当事者団体が国に要望書

2020年5月21日 02時00分

総務省の担当者にホームレスが特別定額給付金を受け取れるよう求める当事者団体のメンバーら=20日、東京・霞が関で

 新型コロナウイルス感染拡大に伴い全国民に十万円を配る特別定額給付金について住民登録のないホームレスらが支給対象外となっている問題で、東京と大阪の十の当事者団体が二十日、給付金の支給や手続き制度の緩和を求める合同の要望書を総務省に提出した。
 団体メンバーら約五十人が同省前に集まった。住民基本台帳に記載がないことで支給対象外としないことや、区役所などに特例的に住民登録が可能となるよう国から各自治体に通達を出すことなどを要望した。メンバーらは「一刻も早く十万円がほしい」「自治体の判断で給付できるようにして」と同省職員に求め、職員は「自治体と意見交換を始めている」と回答した。れいわ新選組も十八日、同様の要望書を総務省に提出した。
 住民登録のないホームレスは、二〇〇九年にリーマン・ショックを受けて麻生政権が給付した定額給付金でも支給の対象外となっていた。当時の国会でも指摘され、政府は課題を認識していたが「住民登録ありき」という制度の根幹は変わらなかった。十一年を経て再び問題が繰り返されている。
 〇九年の定額給付金は、国内に住民登録がある人や外国人登録者を対象に実施。一人一万二千円で、十八歳以下と六十五歳以上は二万円だった。市区町村は住民基本台帳に基づき、世帯主あてに申請書を送付。世帯主が身分を証明できる書類を添えて返送すると、金融機関の指定口座に世帯全員分が振り込まれる仕組みだった。
 当時も住民登録のないホームレスは新たに住民票を作れず、複数の当事者団体や大阪弁護士会などが手続き変更や支給を国などに求めた。参議院でも、文書で内閣に議員が質問する質問主意書で、藤末健三議員が「住民登録を抹消されている、または定住する住所がない国民は定額給付金を受け取れない可能性が高い」と指摘。ホームレスへの手続きの周知や対応を質問した。政府は答弁書で周知の必要性に触れたが、手続きの変更については記していない。
 前回の定額給付金について総務省は「住民登録のない人には新しく住民登録するか、前の住民登録を復活すれば給付できると周知を図ったが、何人に給付できたかという結果は追えていない」とする。
 当時を知る大阪市西成区の生活困窮者支援団体「釜ケ崎医療連絡会議」の大谷隆夫さんは「住民登録ができなかった人は結局給付金をもらえなかった。今はリーマン・ショック以上に深刻な状況なのに、国がやっていることは十一年前と何も変わっていない」と話す。
 立教大大学院の稲葉剛客員教授(居住福祉論)は「日本の社会サービスは住民票にひも付いており、ホームレスにとって毎回ネックになっている。住民票の要件が外せないなら、希望者全員が住宅に入れるような支援がセットでなければいけない」と指摘する。 (天田優里)

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