リバウンド警戒、電力逼迫…疲弊の飲食業界、春まだ遠く まん延防止解除

2022年3月23日 10時51分
 電力供給の逼迫ひっぱくや悪天候に見舞われる中、新型コロナウイルス対策のまん延防止等重点措置が22日、解除された。リバウンドへの警戒感から、東京都が飲食店の利用を4人以内、2時間以内にするよう協力を依頼するなど自粛ムードはまだ残る。外食を避ける生活様式も浸透しつつある中、他業種に挑戦する飲食店経営者もいる。(佐藤航、奥野斐)

まん延防止等重点措置が解除となった飲食店街をマスク姿で行き交う人たち=22日夜、東京・新橋で

◆来客3割、行政への恨み節も

 飲食店が並ぶJR新橋駅周辺では22日、営業再開の準備を進める人たちの姿が見られた。1カ月半以上店を閉めていたJR新橋駅近くのワインバーでは、店主の女性(42)が「ずっと待ってくれていた常連さんもいたので。やっとです」と顔をほころばせた。
 ただこの日は季節外れの寒さで、日中はみぞれも降るあいにくの天気となった。暖房の利用増などで電力需給が逼迫し、国や東京電力が停電の恐れを強調。女性は「お客さんの入りは以前の3割ぐらいかな。来てくれるだけありがたい。ただ、停電を心配して早めに引き揚げたお客さんもいた」と話した。
 新橋駅前の老舗居酒屋も午後11時半までの営業を再開したが、店長の男性(59)は楽観していない。「国や自治体は、感染拡大のたびに飲食店に時短要請を繰り返してきた。この対策の効果を検証すべきだ」と飲食店に向けられたこれまでの対策に不信感を募らせる。
 「今は飲食店より、それ以外の施設の方が感染は多い。対策しやすいからといって飲食店に偏らず、社会の状況に応じた対策をしてもらいたい」と訴えた。

◆居酒屋からパン屋に、今度は小麦高騰に不安

長引くコロナ禍で居酒屋経営に加え、新たにパン屋も始める鈴木伸弥さん(右)。将来的な小麦粉の値上がりも心配する=東京都杉並区で


 東京都杉並区で居酒屋3店を経営する鈴木伸弥さん(38)は、26日に同区阿佐谷北にパン屋をオープンすることにした。「コロナ禍でも事業を拡大しようと考えた時、新たな分野に幅を広げたかった」という。
 居酒屋は3店平均してコロナ前の3〜4割は売り上げが減った。パン屋は都内の人気店のプロデュースを受け、「野菜が主役のパン屋」と掲げた。「草鞋ベーカリー」という印象的な店名や、こだわりの野菜を使ったパンで差別化。16日から3日間、試験販売した時には30分ほどで完売し、手応えを感じた。「軌道に乗せたい」と意気込む。
 東京商工リサーチによると、居酒屋チェーン主要14社の運営店舗数は、コロナ前の2019年12月の7200店から、21年末には5844店と、1356店(18.8%)減った。焼き肉など別業態に変更する店もある。
 情報部の増田和史課長は「コロナ禍で『出社しない』『飲み会をしない』という働き方に変わり、接待利用も減った今、飲食業界ではコロナ以前の売り上げには戻らないという見方が広がっている。ランチ営業やデリバリーに力を入れたり、違う業態にシフトしたりする動きは今後も進むだろう」と話す。
 ただ、鈴木さんにはここにきて不安も。開店準備を進めるさなかの先月、ロシア軍がウクライナに侵攻。世界的な小麦粉の高騰への懸念が出てきた。店では国産小麦粉を使うが、輸入小麦の価格上昇は国産の値上がりにもつながる。
 パンは1個200〜300円台の値段設定で、鈴木さんは「野菜の原価に加え、小麦粉の値上げ分が上乗せされると厳しい」と心配する。

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