最高裁が原告の請求を棄却 夫婦別姓めぐる訴訟 2裁判官は「違憲」判断

2022年3月23日 20時44分
最高裁判所

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 夫婦別姓を認めない民法や戸籍法の規定は憲法違反だとして、東京都と広島県の事実婚の男女7人が国に損害賠償を求めた2件の訴訟で、最高裁第3小法廷(林道晴裁判長)は、原告側の上告を棄却する決定をした。規定を合憲と判断し、原告側敗訴とした1、2審判決が確定した。賠償請求を認めない結論では裁判官5人全員が一致したが、うち2人は規定を「違憲」とする意見を付けた。決定は22日付。
 夫婦同姓の規定を巡っては、最高裁大法廷が昨年6月の決定で、2015年の大法廷判決を踏襲して2度目の合憲判断を示した。裁判官15人のうち4人は「違憲」としていた。
 違憲と判断したのは渡辺恵理子裁判官と宇賀克也裁判官。弁護士出身の渡辺裁判官は意見で、晩婚化が進む中、氏名は「個人の尊厳として尊重されるべきもの」と指摘。結婚で夫婦のどちらかが犠牲を強いられるのは「過酷で是認しがたい」とし、民法などの規定は「婚姻の自由を侵害し、憲法に違反する」と判断した。規定を合憲とする最高裁判断などを踏まえ、国会が立法を怠ったとは言えず、賠償は認められないとした。
 一方、学者出身の宇賀裁判官は、昨年の大法廷決定での反対意見を踏襲し、「結婚の要件として同姓を課すことは不当な国家介入だ」とした。
 原告は3組のカップルと女性。別姓による法律婚が認められず不利益を受けたとして提訴したが、東京地裁立川支部と広島地裁は請求を棄却。2審東京、広島両高裁も同様に退けた。

◆「若い世代の足かせにならぬように」 違憲と判断した渡辺裁判官の意見とは 

 渡辺裁判官は昨年7月に最高裁判事に就任し、夫婦別姓については今回が初めての判断。個別の意見では、2018年の内閣府の世論調査で、30代以下の半数以上が選択的夫婦別姓を容認していたことを挙げ、「家族制度の維持という名のもとの制約が若い世代の将来に足かせとならないようにすべきだ」と若年層に思いを寄せた。
 子どもに与える影響については、離婚や再婚など親子の姓が異なる事態はすでにあり、別姓であることよりも、家族が同じ姓でなければならないという社会の価値観が子どもの不利益となる恐れに言及。「子への配慮を踏まえた具体的な検討を重ねることが国会に期待される」と訴えた。
 旧姓の通称使用を巡っては、金融機関との取引や医療機関での同意などで限界があり、「通称使用が認められることで制約が正当化されるとは考えがたい」と述べた。自らの意思で姓を変えることと、制度によって変更を余儀なくされることには大きな違いがあるとし、「意思決定がその後の生き方にも影響を与える。選択の機会を与えることこそ個人の尊厳の尊重だ」と指摘した。(小沢慧一)

◆第3小法廷の裁判官の判断

(カッコ内は出身分野)
林道晴(裁判官)   合憲
戸倉三郎(裁判官)  合憲
宇賀克也(学者)   違憲
長嶺安政(行政官)  合憲
渡辺恵理子(弁護士) 違憲  

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