<代替わり考 皇位の安定継承>(3) 男系男子限定は明治から

2020年5月20日 02時00分

◆名古屋大准教授(歴史学)・河西秀哉氏

 女性天皇、女系天皇を容認するべきであり、小泉内閣のときにまとめた「直系長子(第一子)優先制」が望ましいと考える。世界的にも男子優先から直系長子優先に変わる流れになっているからだ。愛子内親王が皇位継承順位一位の皇太子となれば、天皇としての教育、帝王学もスムーズだ。
 保守派の人たちは、よく男系男子の継承は日本古来の伝統だと言うが、本当にそうなのか疑問だ。歴史上、八人の女性天皇がいたが、古代の推古天皇は中継ぎではなく、実力があったからこそ選ばれた。性別ではなく、人物本位だった。
 男性しか天皇になれなくなったのは明治になってからだ。明治政府は欧米列強に対抗するため、絶大な権限を持つ戸主を中心とする家制度を作り上げ、その象徴として皇室典範で天皇を男性に限定した。だが戦後、日本国憲法で象徴天皇制の根拠は、国民の総意となった。国民の半数は女性なのに、男性しかなれない天皇は「半分の象徴」ではないか。現代社会は男女平等に近づいており、天皇が女性であってもいいという国民の声は自然の流れだ。
 政府は、秋篠宮さまが皇位継承順位一位の皇嗣(こうし)となったことを国の内外に宣言する「立皇嗣(りっこうし)の礼」を終えた後で本格的な議論を開始するというが、儀式と議論は別々に行うべきだ。なぜなら秋篠宮さまが次の天皇に確定したかのような印象を国民に与え、事実上、愛子天皇待望論を封印することになるからだ。
 立皇嗣の礼は、新型コロナウイルスの影響のため延期となったが、これに伴って議論も遅れていくのはよくない。もし女性宮家創設という結論になれば、女性皇族は結婚後も皇室に残ることになり、心構えの準備期間が必要になる。愛子内親王と眞子内親王、佳子内親王が影響を受ける当事者だが、結論が先送りされるほど「中ぶらりん」の状況が長くなってしまう。
 新型コロナのため会議の開催が難しいのなら、政府が内々に進めているヒアリングの経過について、どういう有識者から、どんな意見があったかを国民に公開したらどうか。
 (聞き手・吉原康和)

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