「高校生のAV出演、主流になりかねない」NPO法人が強要被害を懸念 4月からの成人年齢18歳引き下げに警鐘

2022年3月24日 06時00分

AV出演強要被害の若年化を懸念し、対策を求めるくるみんアロマさん(中)や金尻カズナさん(左)ら

 4月から成人年齢が18歳に引き下げられると、アダルトビデオ(AV)出演の強要といった被害が若年層に広がるのではと懸念する声が上がっている。18、19歳が結べるようになる契約は多様になるが、本人が後から契約を取り消すことのできる「未成年者取消権」は対象外となるからだ。性的搾取防止に取り組む支援団体は23日に集会を開き、「被害をなくすための立法的な解決を」と訴えた。(中村真暁)

◆絶えない若い女性のAV出演強要被害

 「スカウトに声かけられてない?」「相談窓口やってます」。3月上旬の夜、NPO法人「ぱっぷす(ポルノ被害と性暴力を考える会)」(東京都文京区)のスタッフ5人が新宿・歌舞伎町の路上にいる女性たちに声を掛けて回っていた。

スタッフと一緒に歌舞伎町の夜回り活動に向かうNPO法人ぱっぷすの金尻カズナ理事長(右)=4日、東京都新宿区で

 マスクや弁当と一緒に配っていたのは、AV出演強要などの問題を伝える啓発チラシだ。歌舞伎町には常時、AV女優や風俗業へ勧誘するリクルーターが100人はいるとされ、ぱっぷすは約1年前から週2回、歌舞伎町で女性たちの声に耳を傾けてきた。
 AV出演強要を巡っては、若年女性の被害が絶えない。ぱっぷすには、16歳ごろに路上やネット上で勧誘され、水着写真の撮影や動画配信に従事させられた後、児童買春・ポルノ禁止法で規制されない18歳のタイミングでAV出演を強要されたといった相談が多数寄せられている。
 それでも未成年者取消権を行使すれば、映像配信や商品の流通を止められる。ぱっぷすでも、何度も被害を抑制してきた。金尻カズナ理事長は「成人年齢が引き下げられれば、被害が低年齢化し、18歳を迎えた高校生のAVが主流になりかねない」と危ぐする。

◆コロナ禍で新規相談が急増

 特に新型コロナウイルス禍では新規相談が増加し、2020年度は19年度の1.5倍の約280件に。21年度は約620件に上る。外出自粛の影響で家庭に居場所を失ったり、経済的に困窮したりした女性を狙い、AV業界などへの勧誘が増えたという。

スタッフと一緒に歌舞伎町の夜回り活動に向かうNPO法人ぱっぷすの金尻カズナ理事長(右)

 東京・永田町で開かれた23日の集会では金尻さんのほか、AV出演強要の被害経験がある社会活動家のくるみんアロマさんが「当時の私は20歳を超えていたが、18、19歳の人が冷静な判断で勧誘を断れるだろうか。(当時の)動画などはネットから消えない。消えない苦悩だ」として、若年層への予防啓発の必要性を訴えた。
 業界関係者も自主規制を進める。業界団体などでつくるAV人権倫理機構(新宿区)は23日、女優の契約や撮影について「20歳に達してからとすることを強く推奨する」とのルールを公表。18、19歳でデビューする場合も、「とりわけ丁寧な意思確認」を行うとした。

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