「軽い、なんて全くない」オミクロン株でも深刻な後遺症 渋谷のクリニック調査、後遺症患者6割が休職に

2022年3月28日 06時00分
 重症化リスクが低いとされるオミクロン株でも、新型コロナウイルス感染症の後遺症は深刻だ。東京都渋谷区の「ヒラハタクリニック」(平畑光一院長)の調査では、オミクロン株の流行後に後遺症外来を訪れた患者の6割が休職を余儀なくされるなど、社会生活の維持に支障を来す人が後を絶たない。(佐藤航)
 2月末、ヒラハタクリニックを受診した20代男性は座っているのもつらい様子だったという。平畑院長によると、男性は仕事に行けず、風呂に入るのも難しいと説明。診察室で横になり、「いつになったら働けますか」と尋ねたが、3月下旬になっても職場復帰できていない。
 感染当初、男性の症状は軽かった。自宅療養を経て熱も下がったが、重い倦怠感や気持ちの落ち込みが続いている。平畑院長は「オミクロン株は症状が軽いと言われるが、後遺症については、そんなことは全くない」と指摘する。
 厚生労働省は、新型コロナの後遺症について「感染性は消失したにもかかわらず、他に明らかな原因がなく、急性期から持続する症状や経過の途中から新たに、または再び生じて持続する病状全般」と定義する。
 ヒラハタクリニックは、2020年10月に後遺症外来を開設し、今年3月下旬までに新型コロナの後遺症患者約3600人が受診した。そのうち約3500人に聞き取りをした。症状の最多は倦怠感(93.7%)で、気分の落ち込み(86.6%)、思考力の低下(83.1%)、頭痛(80.2%)が続く。不眠や嗅覚・味覚障害、脱毛の症状も半数が訴えた。
 発症が1月以降で、オミクロン株に感染した可能性が高い後遺症患者は約200人で、そのうち10歳未満は4人、10代は14人。10代以下の割合は9%で、デルタ株以前の5%より多い。

◆就業への影響はデルタ株を超える

 後遺症は就業にも影響する。働いていた患者約2000人への調査では、「後遺症が仕事に影響した」と答えた割合が、昨年末まで(デルタ株以前)は66.2%だったが、オミクロン株では76.2%と10ポイント増えた。
 デルタ株以前は1881人、オミクロン株は151人と人数に差があり、単純な比較は難しいが、休職した人はデルタ株以前の4割に対し、オミクロン株は6割に上っている。解雇や退職に至った人は、オミクロン株で2人、デルタ株以前では約140人いた。
 後遺症による倦怠感や気分の落ち込みなどは、他人からは分かりにくい。平畑院長は「職場や学校に行けないのを『怠けているだけ』と言われる患者もいる」と説明する。
 動機ははっきりしないが、分かっているだけで同クリニックの後遺症外来を受診していた患者2人が自ら命を絶った。診察券を見た警察から身元確認の電話があったという。平畑院長は「突然働けなくなったら誰でもショックを受ける。社会の無理解で、さらに傷つけられている部分もある」と後遺症への理解を求めた。

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