ロシアがウクライナ住民数万人をシベリアなどへ強制移送か 「収容所」で選別…ソ連時代の抑圧再現?

2022年3月28日 18時32分
27日、マウリポリ郊外で検問する兵士たち=AP

27日、マウリポリ郊外で検問する兵士たち=AP

 ウクライナに侵攻したロシア軍が東部や南部の「占領地」で、住民を拉致しシベリアや極東サハリン島に強制移送しているとして、ウクライナが非難している。東部2州では、侵攻前から「難民保護」の名目で移送が行われており、侵攻後を含めると累計で数万人規模に達する可能性が出ている。スターリン時代のソ連を連想させる重大な人権侵害として国際的な批判がさらに高まりそうだ。
 ロシア軍が市街地を包囲した南東部のドネツク州マリウポリでは25日、市当局が「ロシア軍が住民1万5000人を強制移住の対象にした」と発表。27日にも「市立病院の職員らがロシア軍に連れ去られた」と説明、違法な拉致行為が続いていると強調した。
 ウクライナ外務省も24日、マリウポリの住民6000人がロシア領内の「選別収容所」に強制的に送り込まれ、ウクライナ政府に圧力をかけるための「人質」にされているとの声明を出した。
 ウクライナのベレシチューク副首相によるとロシア軍は「収容所」で住民の肌にウクライナの国章などが入れ墨で彫られていないかなどを確認。ロシアにとって都合の良い人間かふるいにかけ、住民から身分を証明する旅券を奪っているという。ロシアの侵攻後、強制移送された住民は4万人に達するとの見方も示した。
 住民移送の事実はロシア側も認めている。極東メディア「サハリン・インフォ」(電子版)は13日、侵攻前後にシベリアや極東に移送された東部2州の住民は、ロシア政府の公式データだけで約9万5000人に達すると報じた。
 移送先では、シベリア中部の工業地域クラスノヤルスク地方が最多の3900人余で、炭鉱や天然ガスの産業が盛んなケメロボ州や北方領土を事実上管轄するサハリン州にもそれぞれ1000人以上が到着したという。ロシア政府は「難民」としているが、現地の人口減への対応策や、労働力の補充の意図があるとみられている。
 ウクライナのウニアン通信によると南部ヘルソン州でも多数の女性がロシア軍に誘拐されているとの情報がある。一方、ウクライナ東部2州では戦火を避けてロシアに移る住民もいるが、シベリア移送が自発的かは不明。
 ロシアでは共産体制下のソ連時代の1930~50年代、政治犯のほかクリミア・タタール人やチェチェン人など反抗的とみなされた少数民族を、シベリアや極東各地に移送し、労働力として使役させた経緯がある。

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