契約無効と業者を提訴 給料債権を譲渡、後日高額買い戻し

2020年5月14日 02時00分
 将来分の給料を債権として買い取る形で金銭を渡す「給料ファクタリング」は貸金業法違反で契約は無効だとして、東京都や神奈川県の会社員ら男女九人が十三日、「七福神」の名前で営業する会社(新宿区)を相手取り、計約四百三十六万円の返還を求めて東京地裁に提訴した。原告代理人の弁護士によると、給料ファクタリングの被害を巡る提訴は全国初という。 (井上真典、木原育子)
 給料ファクタリングは「給料を受け取る権利」を業者が買い取り、手数料を引いた現金を渡す仕組み。給料日に債権を買い戻してもらうことで、業者には手数料分の利益が発生する。
 業者側は、買い取り行為で貸金業ではないとの立場だが、金融庁は四月、「違法なヤミ金融」と指摘。警視庁も同月以降、貸金業法違反(無登録営業)の疑いがあると警告している。
 原告側は訴状で、同社は二〇一八年十二月~今年三月、九人に「給料債権の買い取り」として月数万円を貸し付け、法定金利の上限109・5%を超える最大1409%の金利を支払わせたと主張している。同社は取材に「訴状が届いておらずコメントできない」とした。
 給料ファクタリングの被害相談を受ける司法書士の下東(しもひがし)洋介さんによると、業者は全国に約七十存在。最近、トラブルが急増し、東京の被害対策弁護団が三~四月に設けた臨時相談電話には約百十件の相談が寄せられた。
 「新型コロナウイルスの影響で給料が減り返済できない」という声も複数あったという。
 今回の原告には加わっていないが、関東地方の建設業の三十代男性は昨夏に体調を崩し、入院費用を払うため七福神を利用。四万五千円を受け取り、翌月に六万円を返した。年利に換算すると、法定上限を大きく超える400%だった。
 男性は複数回利用したが、業者への不信感と、感染拡大で給料が四割減った生活不安から司法書士に相談した。男性は「当時は切羽詰まって借りたが、後で金利が高すぎることに気付いた」と話している。

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